プロローグ 通報

「はい、こちら119番。火事ですか?救急ですか?」
「救急です!59歳の男性が呼吸停止状態で倒れています。場所は、新宿区大久保4丁目15番3号ニコニコビル4階。玉澤達也法律事務所の前です。心臓は動いています。すぐに来てください…玉澤先生が、死んじゃう!お願いです。早く来て。玉澤先生を助けて!」
 最後は、泣きながら怒鳴っていた。
「すぐ救急車を派遣しますから、落ち着いてください。あなたのお名前と電話番号は?」
「狩野麻綾です。電話番号は……。お願いだから、急がないと、玉澤先生が死んじゃうよ~っ、やだやだっ、助けて!」
 この電話をかけたとき、私は無我夢中で、玉澤先生の命を救いたいということしか頭になかった。玉澤先生が息をしていないという事実の前にパニックに陥り、半狂乱といってもよい状態だった。
 後日、この電話が私を窮地に陥れるなどということは、想像することもできなかった。

第1章 憂鬱 に続く

 

 
 この作品は、フィクションであり、実在する人物・団体・事件とは関係ありません。
 写真は、イメージカットであり、本文とは関係ありません。

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