アイフルへの過払い金請求

取引履歴の開示

アイフルの取引履歴の特徴

 アイフルの近年の取引履歴では、項目が細分化され、「貸付日・入金日」「貸付金」「入金額」「経過日数」「通常利率」「利息」「未収利息」「内、遅延日数」「遅延利率」「損害金」「未収損害金」「元金充当」「元金残高」となっています。貸付金と入金額が別の列になっているので入力がしやすく、(それが同じ列のアコムなんかと比較して)事務員さんに評判がいい開示パターンです。
 近年、遅延日数とか遅延利率を独立の列にして目立たせているのは、遅延の主張をする関係で、遅れた日が一目でわかるようにしているのかなと思います。

取引履歴の保存・開示の範囲

 以前アイフルに対して裁判を起こしたときにアイフル側の代理人(昔は弁護士を付けてきたこともあったんですね)から主張されたところによれば、アイフルでもコンピュータ化の時期が支店によって異なるとかいうことでした。私の経験上は1988年あたりの時期からはコンピュータのデータで取引履歴が開示されています。
 1988年より前から取引のあるケースをそれほどやったわけではありませんが、以前は、私の経験では、取引の途中からの開示の場合は、冒頭の残高0で計算した過払い金(もちろん法定利息年5%付き)であっさり和解できていました。
 しかし、過払い金請求が増えたこともあって、今では、判決を取らないでそういう鷹揚な和解をするのはまず無理です。

交渉・裁判対応

 アイフルは、現在は債務整理の交渉等は滋賀県のアシストセンターで集中して行っていますが、従来は支店対応でしたし、和解後の分割払いの管理は支店で行っていて、その支店の担当者にはずいぶんと態度の悪いのが時々いて、弁護士相手でもこういう態度なのだから一般人相手にはかなり強硬な取立をするのだろうなと感じることがままありました。アシストセンターの担当者は丁寧なんですけどね。
 アイフルは、借り主名義の委任状を勝手に作成して個人情報を取得したり、返済義務のない家族に取立をしたりしたことを理由に全店舗で2006年5月8日から10日まで、違反行為のあった店舗ではさらに長い期間、業務停止処分を受けました。
 業務停止処分の後は、私の個人的経験では強硬な電話が来ることはなくなりました。

 以前は、交渉での和解でも鷹揚な態度を見せていたアイフルが、次第に交渉で頑なになってきていたのですが、それでも2008年までは、私の経験上は、裁判を起こすとあっさり(慰謝料や弁護士費用はともかく)過払い金についてはこちらの主張通りに払う和解をしていました。
 2009年から(私の経験では2008年12月に提訴した事件で提出された2009年1月15日付の答弁書から)、事件の個別的な内容と関係ない定型の答弁書、準備書面を提出するようになり、ただ分厚く無内容な書面を出し続けて引き延ばしを図り、その間に何度も電話してきて大幅な減額を求め続けるだけという対応になりました。
 主張の内容も無内容ですし、和解案も非常識に低額な自分勝手なことを言い続けるだけですので、裁判所もあきれ、アイフルについては主張をする機会を与えても無駄なので早期に打ち切るという裁判官も多くなり、判決をもらうことが増えました。原告1人で数社の消費者金融を被告とした過払い金請求の裁判を起こすと、アイフル以外とは和解するように努力してくださいね、アイフルとは和解できないのはわかりますから、判決を書くのは最小限にしたいので、などという裁判官の言葉も何度か聞きました。

 私の感覚からは、アイフルがやっていることはまったくばかげたことだと思いますが、それでも現実にアイフルがそういう態度をずっと続けているのは、そういう態度を見て(つぶれるかもという脅かしもあり)あきらめて低額で和解する人が少なからずいるからなのだろうとも思います。もっとも、武富士の例を見ても、消費者金融がつぶれるときは予告なく気配も見せずに突然つぶれることもありますから、安くても早く回収した方がよかったと依頼者から言われる日が来ないとは言い切れませんけど。

 アイフルは和解せずに判決をもらうと全件控訴だという人もいますし、裁判官から自分がした判決は全部控訴されているとまで言われたこともありますが、私の経験では、あまり控訴されていません。判決後も、性懲りもなく負けてくれという電話をしてきますが、判決も取ったし1円たりとも負けない、控訴したいならさっさと控訴しろというと、たいていは払うことにしたから○月○日時点の額を計算してくれと言ってきて、そのとおりに支払われています。
 私の経験で最近でも、2017年3月3日提訴、口頭弁論期日2回で弁論終結、2017年6月15日判決の事案で、やはり判決後に電話してきて、負けてくれと言うので、負ける気はないと答え、それなら控訴することになると言うので、どうぞ控訴してくださいと言っておいたら、6月22日に電話で6月26日に判決に従って支払うから金額を計算してくれと言ってきて、その通りに支払われています。(その事件では、その後7月4日判決確定、7月6日訴訟費用額確定処分申立、7月12日訴訟費用額確定処分、7月14日訴訟費用額支払請求と進み、7月21日に訴訟費用も全額支払ってきました)

 アイフルは、大手消費者金融では唯一、本社が東京以外(京都市)なので、東京の弁護士にとっては、東京から遠い地域に住む借主の依頼を受けた場合、どこで裁判をするかが悩ましいです。過払い金請求訴訟の土地管轄は、借主(原告)居住地か貸金業者(被告)本店所在地かのどちらかです。借主の住所地で提訴して、借主に口頭弁論に行くだけ行ってもらう(裁判官から何を言われても「次回書面で」と答えてもらう)か、いっそ京都地裁に提訴するか。
 一度だけ、京都地裁に提訴して私が京都まで通い、判決をもらって訴訟費用(旅費実額等)の取立をして、アイフルに14万円もの訴訟費用を払わせたこともありますが、それも疲れますし。

裁判上の主張

 定型の答弁書・準備書面を提出するようになってからのアイフルの主張は、取引の分断(一連計算ができない)が主張できるときはそれをすることのほかには、①アイフルは悪意の受益者でないという抽象的一般的な主張(その中で特徴的なものとして、アイフルは他の消費者金融と違って「元金定額リボルビング方式」なので、返済回数の記載がなくても、「みなし任意弁済」の適用があると信じてもやむを得ない特段の事由があったというものがあります。アコムとの比較で、あとで説明!)、②アイフルは悪意の受益者でないので民法第703条により返還は「利益の損する限度」に限られるから、法人税として支払った35%分は過払い金返還額から差し引かれるべきだという独自の主張(2017年に入ってからは、この主張はなされなくなったようですが)、③支払が1日でも遅れたら期限の利益を失いその日以後は利息制限法の遅延損害金利率(2000年6月までは通常の制限利率の2倍、その後は1.46倍)で計算すべきという主張がなされ、その他、時々思いついたように変な主張が付け加わるというところです。
 2017年8月3日付で出してきた答弁書でも、「過払い利息の発生時期を訴状送達の翌日からとすべき」という、最高裁2009年9月4日第二小法廷判決(過払い利息は過払い金発生時から発生する)で明確に否定された時代錯誤のまったく素人レベルの主張を恥ずかしげもなくしてきて、驚きました。

アイフルの悪意の受益者に関する主張

 借主に貸金業規制法(当時)が定める事項をきちんと記載した書面・受取証書を交付したかどうかで、悪意の受益者かどうかが分かれるという近年の最高裁が打ち出した基準(その中身は「アコムへの過払い金請求」の項目で説明しています)の下では、書面の記載内容と、それを現実に借主に交付したかが問題となります。現実に交付したことの立証としては、ATM利用明細書の控え(ジャーナル)がベストです。アコムはこれを保管して裁判所に提出するシステムを作り、現実に大量のジャーナルを提出してきましたが、他の消費者金融はそれができません。そこで、ATMで利用明細書を交付する「態勢」を作っている以上、当然に現実にそのような記載がある利用明細書が交付されたと認定すべきだという主張をすることになります。アイフルの悪意の受益者についての主張では、この部分が長々と記載されます。この主張を認めたとして引用されるのは、アイフルがとった判決ではなく、CFJ(懐かしのY支配人)などがとった判決なのですが。この主張については、私は毎度、アコムの例を引き合いに出し(その内容は「アコムへの過払い金請求」の項目で説明しています)ATMで要件を満たした記載をした利用明細書を交付する態勢を作っても現実にはその内容が記載されていないという実例があるのだから、ジャーナルを出さないと立証したことにならないと主張しています。私は、この論点で負けたことはありません。
 アイフルが悪意の受益者との関係で、力を入れて主張する論点で、他の消費者金融は「元利定額リボルビング方式」(元金と利息を含めた毎回の支払額が一定)だから返済回数がないと最終返済日がわからないが、アイフルは「元金定額リボルビング方式」(毎回返済する元金額が一定。実際の返済はこれに利息を足して払うので毎回額が異なる)なので返済回数を書かなくても借入残高を最低返済額で割れば返済回数は当然にわかるから「返済回数」の記載がなくても貸金業規制法の要求を満たし「みなし任意弁済」が適用されると信じることがやむを得ないといえる特段の事情があり、アイフルは悪意の受益者ではない(過払い利息を払わなくてよい)というものがあります。最高裁がアコムやプロミス、CFJについての判決で、返済回数と最終返済日の記載があればよいとしたのは、「元利定額リボルビング方式」だからこそ、その最低返済額に返済回数をかければ、それによって現状で元利合計でどれだけ払えば借金がなくなるかを把握できるということに意味があります。アイフルの「元金定額リボルビング方式」の場合、それに返済回数をかけてもわかるのは支払うべき元金だけ(それは、そんな計算をしなくても借入残高が記載されていますから初めからわかっています)で支払うべき利息の総額がまるでわかりません。だからアイフルの「元金定額リボルビング方式」の場合、返済回数がいらないのではなく、むしろ返済回数が書かれていたとしてもそれでもだめなのです。そこのところが、アイフルはまったくわかっていません。何年も過払いの裁判やってきて、いったい何を考えてるんだろうと思います。


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