民事裁判の流れ(民事裁判の1審の手続)

 民事裁判ではいきなり証人尋問があるわけではありません。様々な段階、局面があって、そのやり方次第で勝訴が近づいたり遠のいたりします。まずその手順を理解しましょう。

訴えの提起(民事裁判の始まり)

 民事裁判は、訴えを起こす人(原告:げんこく)が裁判所に訴状(そじょう)を提出することで始まります。
 訴状の作成や提出、どの裁判所に訴えを提起する(訴状を提出する)べきかなどについては「訴えの提起(民事裁判の始まり)」の項目で詳しく説明します。

第1回口頭弁論まで

 裁判所は訴状を受け付けると、第1回口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)を指定して、訴えられた人(被告:ひこく)に訴状の副本(ふくほん)等を送ります。
 これに対して被告側では、答弁書を作成して裁判所に提出し、その後の口頭弁論期日に本人か代理人(弁護士)が出席して対応するのが、通常の展開です。
 イレギュラーな展開としては、訴状が被告に送達(そうたつ)できない(届かない)場合、訴状を受け取った被告が答弁書を提出せず、第1回口頭弁論にも出席しない場合があります。これらの場合、被告側には不利な結果になるのがほとんどです。
 これらのことがらについては、「第1回口頭弁論まで」の項目で詳しく説明します。

第1回口頭弁論

 民事裁判の第1回口頭弁論は、現実には原告側だけが出席し、被告は欠席して、あっという間に終わることが多いです。その様子については「第1回口頭弁論」の項目で説明します。
 民事裁判の法廷の様子や、口頭弁論の実情などについても、この「第1回口頭弁論」の項目で説明します。

主張整理(準備書面と書証の提出)

 民事裁判では、法廷で行う口頭弁論期日に当事者の主張・立証を行い、その口頭弁論期日に行われた主張・立証から裁判所が一定の心証を持ち、それに基づいて判決を行うのが基本です。もっとも、当事者の主張(基本的には「準備書面(じゅんびしょめん)」等の書面にして提出)や証拠書類(書証:しょしょう)の提出は、口頭弁論の準備として行う「弁論準備期日(べんろんじゅんびきじつ)」で行うことができ、近年では主張整理は(傍聴人が多数詰めかけるような事件や本人訴訟の場合以外では)法廷外の小部屋で行ったり、Web会議で行うのがふつうになっています。
 主張・立証は、まずそれぞれの当事者が請求(基本的には原告の請求)が認められるかどうかに影響するような法律構成とその要件となる事実を主張して、どの事実に争いがありどの事実が認められれば請求が認められたり認められなかったりするかの枠組みを明らかにします。このことあるいはこの段階を裁判業界では「主張整理(しゅちょうせいり)」といいます。
 この主張整理段階での民事裁判の進み方、具体的には口頭弁論の進行、準備書面の作成・提出、書証(証拠書類)の提出などについては、「主張整理(準備書面と書証の提出)」の項目で詳しく説明します。

和解

 民事裁判では、裁判所から当事者に和解は可能かという質問が随時あります。話し合いで和解する可能性があると裁判所が判断すれば、「弁論準備期日」で和解の話し合いも進められたり、はっきりと「和解期日(わかいきじつ)」が指定されてやはり書記官室の脇の小部屋やWeb会議を用いて、裁判所が間に入って和解の話が進められることになります。
 ここに、和解の話が入るのは、一般の方にはちょっと違和感があるかもしれません。しかし、現実の民事裁判では、証人尋問に入る前にどこかで和解の打診があるのがふつうで、和解ができそうにないときに人証調べに入るという展開が多いので、実務の実情に合わせて、この段階で説明します。
 和解については、「和解」の項目で説明します。 

人証調べ(証人尋問と本人尋問)

 主張整理が終わって、その段階でも和解ができそうになく判決を出す必要があると、証人尋問・当事者本人尋問の「人証調べ(にんしょうしらべ)」を行います。人証調べは、それまで「弁論準備期日」で進めていても、「口頭弁論期日」に戻されて、法廷で行われます。
 証人尋問と本人尋問、法廷ドラマの見せ場と言える主尋問・反対尋問、異議などについては「人証調べ(証人尋問と反対尋問)」の項目で詳しく説明します。

弁論終結と判決

 人証調べが終わると、通常は、当事者の主張・立証は既に尽くされているということになり、口頭弁論は終結することになります。ここで裁判所から改めて和解の勧告があることもありますし、そのまま弁論を終結して判決に進むこともあります。比較的多数の証拠が提出された事件では、弁論の終結に際して、これまでに提出された証拠・証言によって自分が主張した事実がこのように立証されているということをとりまとめて主張する「最終準備書面」を双方が提出することがあります。
 弁論終結と判決言い渡し、判決の読み方などについては「弁論終結と判決」の項目で詳しく説明します。

簡易裁判所での審理

 以上の説明は、基本的に、地方裁判所での1審の裁判を念頭にしています。
 訴えの対象となる金額が140万円以下の場合、簡易裁判所が1審となります(その判決に対する控訴は、地方裁判所が担当することになります)。
 簡易裁判所での審理では、地方裁判所での審理と違う点がいろいろあります。その点については「簡易裁判所での審理」の項目で詳しく説明します。


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