民事裁判の登場人物

 民事裁判の登場人物としては、当事者(原告・被告等)、その代理人、裁判官と書記官などの裁判所の人々、証人、鑑定人などがいます。
 民事裁判は、当事者がいなければ裁判が始まりませんし、裁判官は当事者の請求と主張に拘束され、立証も当事者が中心となって行いますから、一番重要な登場人物は当事者といってよいでしょう。もっとも、現実には、当事者が行う裁判での主張や立証は多くの場合弁護士が当事者の代理人として行っています。その裁判の審理・進行は裁判官が管理し、書記官が記録し、裁判所事務官などがその補助をします。そして当事者の主張立証を受けて最終的には裁判官が判断をして判決に至るというわけです。

当事者(原告と被告等)

 民事裁判を起こす、つまり訴える人は「原告(げんこく)」、訴えられた人は「被告(ひこく)」と呼ばれます。被告というのは、法律用語では民事裁判で訴えられた人のことですが、マスコミでは刑事裁判の「被告人(ひこくにん)」のことも「被告」と呼ぶ(法律用語としては誤った用語法です)ことが多いため、被告と呼ばれるだけで気を悪くする人も少なくありません。
 この原告、被告を「当事者」と呼んでいて、民事裁判の結果の和解や判決の効果は、当事者に対して生じます。
 代理人がいない場合は、当事者本人が口頭弁論期日等に出席することになります。逆に言えば、通常の民事裁判では、代理人がいれば本人が口頭弁論期日等に出席する必要はありません。
 会社などの「法人(ほうじん)」の場合、代理人がいなければ、代表者が口頭弁論期日等に出席すべきことになります。
 個人の場合、未成年や成年後見(せいねんこうけん)を受けている人は、当事者であってもみずから裁判での主張や立証等を行うことができません。事実上できないという意味ではなく法律上できません。この場合、未成年者は「親権者」が、成年後見を受けている人は後見人が、代理人として裁判上の主張や立証を行うことができます。このような代理人を「法定代理人(ほうていだいりにん)」と呼んでいます。

代理人

 当事者の代わりに口頭弁論期日等に出席して主張や立証をする人を、訴訟代理人(そしょうだいりにん)と呼びます。
 法定代理人は、当然に訴訟代理人となることができます。法定代理人は、自分で裁判での主張や立証を行うことができますが、もちろん、さらにその代理人として弁護士を訴訟代理人にすることができます。弁護士は、その場合、法定代理人から委任状をもらいます。
 法人の場合、包括的な権限を有する「支配人(しはいにん)」を商業登記簿(しょうぎょうとうきぼ)に登記しておくと、支配人が訴訟代理人となることができます。消費者金融が、弁護士費用を節約するために権限がなく裁判知識もない末端の従業員を形だけ支配人登記する例が多くていやになりますが。
 簡易裁判所以外の裁判所(地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所)では、法定代理人や支配人と、弁護士だけが訴訟代理人となることができます。
 簡易裁判所では、それ以外の人も、裁判所の許可を受けて訴訟代理人となることができます。また簡易裁判所では試験に合格した「認定司法書士(にんていしほうしょし)」が報酬を得て訴訟代理人となることができます。弁護士は、もちろん、簡易裁判所でも訴訟代理人となることができます。

裁判官等

 民事裁判で登場する裁判所側の登場人物は、裁判官、書記官、事務官(廷吏とも呼ばれます)です。
 担当する裁判官の数は、簡易裁判所では1人、地方裁判所では多くの事件は1人、裁判所が重要と考えた事件(基準は決められていません)と控訴審(簡易裁判所が1審の控訴審は地方裁判所なので)は3人です。裁判官が3人で担当する事件を合議事件といいます。高等裁判所は、通常の民事裁判のすべての事件で3人、最高裁判所は小法廷は5人、大法廷は15人が原則です。
 裁判官は、口頭弁論期日等の審理、進行を指揮し(合議の場合は裁判長が指揮し)、和解の確認をしたり、判決を書きます。
 書記官は、口頭弁論期日の記録を行い、口頭弁論調書や和解調書を作成します。そのほかに、第1回口頭弁論期日の日程調整や、期日の変更、訴訟救助等、口頭弁論期日以外の場面で裁判所と連絡を取る場合、たいていは書記官が対応することになります。
 裁判所事務官は、法廷では、事件を審理する順序を決め当事者を呼び入れるなどの整理をしています。
 これ以外に裁判所側(法壇の上や横)にいる人は、地方裁判所の場合、研修中の人と見てよいでしょう。多くは司法修習生(司法試験に合格し、裁判官・検察官・弁護士のいずれかになる予定の人)で、時々書記官研修中の人がいたりします。
 簡易裁判所の場合、法壇の横に数名、司法委員(しほういいん)と呼ばれる人がいます。司法委員は、弁護士や学識経験者から選ばれ、当事者から別室で話を聞いて和解の話をまとめたりする仕事をしています。

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