法テラス利用

法テラスの代理援助制度

 資産がなく収入が少ないために弁護士費用を支払えない人のために、日本司法支援センター(法テラス:2006年9月までは財団法人法律扶助協会の事業でした)が弁護士費用の立替等の事業をしています。法律扶助協会時代は、これを「法律扶助」と呼んでいましたが、「扶助」という言葉のイメージがよくないとかで、今は「代理援助」と呼んでいます。弁護士などの専門家の代理人を付けるための費用の援助ということですね。

代理援助の利用方法・手続

 代理援助を利用する方法は、司法支援センターの地方事務所(東京では、新宿、池袋、上野、立川、八王子など)の法律相談に行ってそこで担当した弁護士に事件を担当してもらうというパターンと、法テラスと契約している弁護士(私も一応そういうことになります)に相談してその弁護士に事件を依頼した上でその弁護士経由で司法支援センターの審査手続を行うパターン(司法支援センターの用語では「持ち込み事件」と呼んでいます)があります。
 どちらの場合も司法支援センターの審査手続で資力基準と「勝訴の見込みがないとはいえないこと」の要件を満たすと認められる必要があります。
 現在、東京では、どちらの場合も、弁護士が援助申込書(表側は原則本人記入)、事件調書、資力申告書を作成し、事件の種類に応じて提出する資料、住民票(世帯全員)、本人と妻または夫の収入に関する書類(給与所得者は給与明細書直近2か月分か前年の源泉徴収票、自営業者は確定申告書の控えか課税証明書等)を添えて司法支援センター(東京地方事務所)にFAXして申し込みます。これに対して、司法支援センター側から追加して提出すべき書類等が指示されれば、それを追加提出するなどします。その後2週間前後で援助決定と司法支援センターに提出すべき書類(代理援助契約書、重要事項説明書、銀行口座の自動引き落としのための書類)が弁護士宛に送られて来るという手順です。
 司法支援センターの相談所で相談を担当した弁護士に依頼する場合、結局は、もう一度、今度はその弁護士の事務所に行って改めて相談・打ち合わせをして援助申し込みをすることになります(司法支援センターの相談所に住民票や給与明細書等(それも妻や夫の分まで)の必要書類を予め用意して持ってくる人はあまりいませんし、持ってきていても弁護士が30分の相談時間で援助申請の書類を書いて提出するのは不可能ですから)。

弁護士費用の立替と支払の概要

 代理援助を利用すると、弁護士費用を日本司法支援センターが立て替えて、依頼者は日本司法支援センターに月5000円とか1万円の分割払いをすることになります。本当に収入が少なくて生活保護を受けているような場合には、事件が解決するまで支払を猶予したり、事件が終了しても支払えない場合にはさらに支払を猶予したり免除するということもあります。
 代理援助を利用する場合、弁護士費用の総額自体も、通常の弁護士費用や弁護士会の法律相談センターの基準よりも低くなるのが普通です(具体的には、私のところへよく来る労働事件や自己破産のケースについて、この下にめやすを書いておきました)。日本司法支援センターの基準にも事件によって幅があり、審査委員の審査で決まりますので、予めいくらになるとは言えませんけど。
 事件終了によって相手方から支払を受けた場合には、その支払金から着手金(+実費)の未払い額と報酬金を差し引かれます。相手方から支払があった場合の報酬金については、法律相談センターの基準と概ね同じ程度の額に決定されることが多いようです。

法テラスの資力基準:東京23区在住(多摩の大部分も同じ)の場合

本人と配偶者(妻、夫)の収入合計が次の基準以下で、特に資産がない場合は法テラスを利用することができます。
 単身者  月収20万0200円以下(家賃・住宅ローンがある場合5万3000円まで加算可)
 2人家族 月収27万6100円以下(家賃・住宅ローンがある場合6万8000円まで加算可)
 3人家族 月収29万9200円以下(家賃・住宅ローンがある場合8万5000円まで加算可)
 4人家族 月収32万8900円以下(家賃・住宅ローンがある場合9万2000円まで加算可)
 5人家族 月収36万1900円以下(家賃・住宅ローンがある場合9万2000円まで加算可)
「特に資産がない」の判断では、本人と配偶者(妻、夫)の預貯金等を合算して次の金額以下ということが基準になります。
 単身者     180万円以下
 2人家族    250万円以下
 3人家族    270万円以下
 4人家族以上  300万円以下

地方の場合、この基準より対象となる月収が低くなっています。
詳しくは日本司法支援センター(法テラス)のサイトをご覧ください。

代理援助の場合の弁護士費用のめやす

労働審判
 着手金+実費 10万8000円~15万2000円
  事案の性質上特に処理が困難なものの上限:18万5000円
 報酬金
   原則:支払を受けた和解金等の額の11%
     勝訴的な審判や調停を受けたが回収できない場合
     6万6000円~13万2000円(標準額は8万8000円)
 ※法テラスでは着手金と別に「実費」名目の費用が決められます。
  弁護士はそれで訴状に貼る印紙等以外の実費をまかないます。
  しかし、実費の支出の内訳報告や精算は予定されていません。
  その結果、依頼者側からは、着手金と同じ扱いになるので、「着手金+実費」で表示しています。
賃金仮払い等の仮処分
 着手金+実費 15万2000円~21万8000円
 報酬金
   原則:支払を受けた金額の11%
     勝訴的な決定や和解を受けたが回収できない場合
     6万6000円~13万2000円(標準額は8万8000円)
通常の訴訟(労働事件でも別の種類の事件でも同じです)
 着手金+実費(実費は50万円未満が2万5000円、それ以外は3万5000円)
  請求額が 50万円未満            9万1000円
  請求額が 50万円以上100万円未満     13万4000円
  請求額が100万円以上200万円未満    16万7000円
  請求額が200万円以上300万円未満    20万0000円
  請求額が300万円以上500万円未満    22万2000円
  請求額が500万円以上1000万円未満    25万5000円
  請求額が1000万円以上          27万7000円
  事件の性質上特に処理が困難なものの上限:42万0000円
 報酬金 
   原則:支払を受けた金額の10%+消費税(要するに11%)
      支払を受けた額が3000万円を超える時は超えた部分は6%+消費税
     勝訴的な判決や和解を受けたが回収できない場合
     6万6000円~13万2000円(標準額は8万8000円)
     被告事件で請求を排除したとき
     着手金の7割相当額+出廷1回あたり1万1000円
     ただし、出廷回数による加算額は請求排除額の10%を上限とする
自己破産
 債権者数 1社~10社   15万5000円
 債権者数11社~20社  17万7000円
 債権者数21社以上    21万0000円
 事件の性質上特に処理が困難なものの上限:30万3761円

どの場合も事案の性質上困難な場合などに増額されることがあります。

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