判決の強制執行

判決の強制執行

 金銭を支払えという判決の場合、相手方が任意に支払わないときは、相手方の財産を差し押さえ、差押えの対象が不動産(土地・建物)や動産(家財道具等)ならば競売(けいばい)してお金に換えてそのお金を受け取り、債権(さいけん)ならばその差し押さえた債権の債務者から支払を受けることができます。
 不動産の明け渡しを命じる判決の場合は、決められた期限までに明け渡さないときは強制的に執行すると伝えた上で、裁判所の執行官(しっこうかん)が業者を同行して相手方を外に出して荷物を運び出すなどして実行します。

金銭の支払を命じる判決の強制執行

 相手方が任意に支払わない場合に、差押えの対象となる財産としては、不動産(土地・建物)、動産、債権では預金、給料、取引先に対する売掛金(うりかけきん:商品などを売った代金)などが考えられます。
 相手方がこれらの財産を持っていて、その所在が把握できれば、それを差し押さえることはできますが、差し押さえさえすればうまく回収できるとは限りません。
 不動産(土地や建物)の強制執行は、時間と費用がかかりますし、ほとんどの場合、不動産は担保に入っていて(自宅の場合、住宅ローンの借入の担保がついていることが多く、事業者の場合には事業資金の借入の担保がついていることが多い)、借金の額の方が競売で売れる価格より多いので、効果的でない場合が多いです。
 動産(家財道具)の執行は、ほとんど二束三文で裁判所の出入り業者が買うだけで、費用倒れのことも多いです。その上、その出入り業者も運び出して他に売るのはめんどうなので、結局その場で執行を受けた本人が買い戻して終わりというのが実情です。
 預貯金の強制執行は、どの金融機関のどの支店に口座があるかがわからないとダメで、しかも差押え決定が届いた瞬間に口座にあったお金だけが差押え対象ですから、口座が確認できずにあてずっぽうにやればそもそも口座がなくて空振りだったり、口座があってもほんのわずかしか残額がなくて空振りということが結構あります。
 相手がしっかりした会社に勤めていれば、給料の差押えが有効ですし、相手が会社・事業者でしっかりした取引先があれば取引先への債権(商品を売った代金など)の差押えが有効です。でもそれもなかったら、現実的にはお手上げということが少なくありません。

明け渡しを命じる判決の強制執行

 土地・建物の明け渡しを命じる判決の場合、執行官が現地に行って執行することになります。
 まず1回目は執行官は判決で明け渡しを命じられた相手方(多くの場合その土地・建物の借主)に対して任意に明け渡すよう求めるとともに、一定の期限を定めてその日までに明け渡さない場合は強制的に執行することを伝えます。
 2回目は、執行官が本当に明け渡させるという前提で、執行官は、通常、明け渡し対象の不動産の中にある荷物類を運び出すための業者を同行し、相手方が鍵を開けない(鍵を替えている)などの抵抗が予想される場合には開錠業者も同行するなどします。それを見て、相手方がその場で任意に明け渡せばそれにまかされ、そうでない場合は、執行官の指示の下に業者が荷物を運び出して執行をすることになります。
 このときに、運び出した荷物を持ち主が持っていかないと処理に困るので、貸主は賃貸借契約書を作成するときに、借主が明け渡しの際に持ち出さなかった荷物の所有権を借主は放棄するという条項を作り、強制執行の際には未払賃料等の金銭支払を命じる判決で動産執行を一緒に申し立てて、残った荷物を競売し、売れなかったら処分することになります。

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