過払い金返還請求の話
 消費者金融から借金をして数年以上返済を続けている場合、利息制限法に引き直すと過払いとなっている(本来借金はなくなっていて払い過ぎていて、取り返せる)可能性があります。10年も返し続けていれば、たいていの場合は過払いとなっていて、過払いの額も数十万円になっていることが多いですし、十数年も返し続けていたら、百万円以上の過払いになっていることが多いです。
 借りたり返したりのパターンによって過払いかどうか、その程度は、必ずしも年数と一致しません。年数の割りに過払いになりにくいパターンは、少額の借入が長く続き、最近になって枠が大幅に増えて借入が大幅に増えたという場合。逆に過払いになりやすいパターンは、早い時期から枠が大きくなり、返しては枠一杯近くまで借りというのを長期間続けてきた場合。また、一旦完済して間があいてまた借りたという場合、借りていない期間が長いと、期間の割りに過払いになりにくい上に、全体をまとめて計算できるかという問題が起こり、期間の割りに過払いになりにくくなります。そのあたりで、結構違ってきます(この点について詳しくは「過払いの判断」を見てください)が、長期間返済を続けていたら、過払いじゃないかと疑ってみた方がいいですね。
 貸金業法などの改正で2010年6月から貸金業者が年20%を超える金利で貸し出しをすると刑事罰を受けることになり、そのことや貸金業者間の競争が厳しくなったことから、数年前から利息制限法の金利(10万円以上100万円未満で言えば年18%)以内で貸し付ける消費者金融も増えてきました。その場合、一番最初の借入から利息制限法以内ならば、過払いにはなりませんが、最初は利息制限法の金利を超える金利で借りて返済を続け最近になって金利が下がって今は利息制限法の金利以下という場合は、過払いになっている場合があります。
 そういうことを知らないで長いこと返済を続けてきていよいよ返せなくなって、破産しかないと思いつめて弁護士に相談に来られて、よくよく聞いてみたら昭和の頃から返済を続けていたりして、消費者金融数社から数百万円取り戻したなんて例も、私も何度も経験しています。

  過払い金の返還交渉

 弁護士が、債務整理か過払い金返還請求を依頼されると、まず貸金業者に取引履歴の開示を求めます。弁護士からの取引履歴開示請求に対して貸金業者がこれに応じる義務があるかどうかについては、かつては裁判所の判断が分かれていましたが、2005年7月19日、最高裁が貸金業者は取引履歴を開示する義務があるという判決を出し、法的には決着がつきました(それでもレイクのように10年たつと取引履歴は自動的に廃棄していて存在しないなどと言い張る業者は開示しないおそれがあり、後で説明するように、レイクのまねをする業者が増えていますが)。
 貸金業者から素直に最初の取引から全部取引履歴が出てくれば、利息制限法計算シート(表計算ソフト)に入力して過払い金を計算します。
 素直に取引履歴を開示する業者の場合は、その段階で計算した過払い金を示して請求します。依頼者の意向と貸金業者の態度によっては、交渉だけであっさり合意できて返ってくることもあります。

  過払い金返還請求訴訟 : 多くの場合のパターン

 取引履歴を素直に開示してきた場合でも、依頼者の希望や貸金業者の態度によって、合意ができない場合も、あります。特に最近は過払い金返還請求が増えて貸金業者も経営が厳しくなっていることもあり、担当者があれこれ難癖をつけて値切ってきたり、中小の消費者金融では分割払いでないと払えないなどと言い出すことも出てきて、簡単には合意できないことが多くなっています。
 その場合は、過払い金返還請求の訴訟を起こします。取引履歴が全部開示されている場合は、開示された取引履歴でそのまま過払い金を計算して訴状を作ります。この場合は、取引経過に争いはありませんから、貸金業者が全面戦争の事件と位置づけてこなければ、事実上、争点は過払い金に法定利息(貸金業者が「悪意の受益者」の場合に法定利息の支払義務があります。利率について年5%説と年6%説があり、2006年には高裁レベルで6%説の判決が相次ぎ、流れは6%に傾いてきていましたが、残念ながら2007年2月13日、最高裁が5%説の判決を出してしまいました)をつけるかどうかの争いくらいしかありませんでしたし、それも2007年7月の一連の最高裁判決で、過払いの場合には貸金業者が悪意の受益者と推定され、法定利息を付けるのが原則ということでほぼ決着が付きました。で、以前は大抵の場合、第1回口頭弁論期日の前後に貸金業者から和解してくれという電話が入り、裁判前にこちらが主張していたあたりか、裁判上の請求額に近いところで和解になっていました。しかし、貸金業者の経営が厳しくなっていたことと2007年2月13日の最高裁判決で一旦完済した後再借入をした場合に全体を一本で計算できるかという争点がクローズアップされたことから、一旦完済して再借り入れした事案については特に貸金業者が別計算(完済したのが10年以上前ならその過払い金は時効消滅して請求できない)という主張で粘るようになりました。また、基本契約に基づく継続的な貸し借りが続いている間は時効が進行しないという2009年1月22日、3月3日、3月6日の最高裁判決を口実に取引終了までは法定利息が発生しないとかいう主張なども盛んになされるようになりました(これは2009年9月4日の最高裁判決で最終的に決着が付いたと思います)。2009年7月10日と7月14日の最高裁判決で貸金業者の悪意の推定がされない特段の事情について貸金業者側に甘い判断がなされたことからそれに便乗して関係ない貸金業者までが、自分も悪意でないなどと粘るようになっています。貸金業者の経営が苦しくなったことと双方に多数の弁護士が入るようになったことで、裁判での主張はどんどん専門化・複雑化していくように見えます。
 取引履歴を素直に開示してこない業者とは、過払いに間違いないと確信した場合、訴訟提起するしかないということになります。その場合、貸金業者が開示してきた最初の取引時点の残高をゼロにして計算するか、依頼者からの聞き取りで最初に借りた時期、最初に借りた額、貸付枠拡大の時期、返済パターン(毎月何日頃にいくらずつ返済していたか)、追加借入パターンを聞き取って取引経過を推定計算して訴状を作ります。この時の推定の仕方は、弁護士によって、それぞれのノウハウがあり、人によって変わってきます。
 以前は、訴訟を起こすと開示してくる貸金業者もけっこうあったのですが、いまどきは訴訟前に開示しない貸金業者は、取引履歴は廃棄したと言って訴訟を起こしても頑として取引経過を開示しないのが普通になっています。この問題では、レイク(GEコンシューマー・ファイナンス:現在は新生フィナンシャル)がかなり以前から取引経過は10年経過すると「自動廃棄」されているので記録は一切残っていないと言い張って裁判所から文書提出命令を出されても頑として出さないという態度を続けています(もっとも、現在は、10年で廃棄するやり方は誤りと指摘されたのでやめた、しかし1993年9月以前の取引経過は既に廃棄してしまったのでないという主張です)。最近、CFJ(旧アイク、ディックファイナンス、ユニマット)、丸井(エポスカード)、クレディセゾン、三菱UFJニコス(旧日本信販)、三和ファイナンス(現在はSFコーポレーション)、さらにはかつては契約書と利用明細書は最初からすべて倉庫業者に保管させてあると豪語していたエイワも、同様の態度をとるようになっています。貸金業者の主張との闘いの中で、この問題について、@貸金業者が開示した(途中からの)取引履歴の最初の残高を0として計算した過払い額を認める、A原告側の仮計算について原告本人が証言するか陳述書を出せばそれで立証されたものとし貸金業者が具体的に反対立証できなければ(記録がないというのだから反対立証できるはずがない)原告の仮計算による過払い金額を認めるという2パターンの解決法による判決が出てきています。もちろん、まだ大半の裁判官がそれを認めるというまでには至っていませんが、流れはその方向にあると考えてよいと思います(最近、逆コースのような裁判官の態度もまま見られますが)。

 ただし、過払い金返還請求訴訟をしたい方は、このHPも含め、インターネットで得られる情報の限界があることについて「過払い金返還請求訴訟をしたい方へ」を見てください。

 もっと詳しく知りたい方のために「もっと詳しい過払い金請求の話」を書き始めました。

  それぞれの消費者金融の態度

 過払い金返還請求をしたときの消費者金融側の態度、取引履歴の出し方、訴訟になった場合の対応はいろいろです。そのあたりについて消費者金融別に私の経験を紹介します。日頃、明るくフレンドリーなコマーシャルを流している消費者金融が過払い金返還請求をしたらどういう態度をとるか、という関心で見てもらってもいいですよ。

  アイフルの場合
  アコムの場合
  プロミスの場合
  武富士の場合
  CFJ(ディックファイナンス・アイク・ユニマットレディス)の場合
  レイク(GEコンシューマー・ファイナンス)の場合
  アエル(日立信販)の場合
  SFコーポレーション(三和ファイナンス)の場合
  クレディアの場合

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