◆過払い金返還請求の話
  三和ファイナンスの場合

 三和ファイナンスは、以前から強硬な取立や消費者金融の中でも高い金利、保証会社「アイ・ギャラン」をかませて保証料とあわせて実質的にはさらに高い金利を借り主に負担させるなどで評判の悪い貸金業者でした。
 現在は貸付業務を停止し、取立と訴訟対応に特化しています。交渉段階でも裁判でもとんでもなく低水準の分割払いの和解を言い続けています。最近は、出てくる担当者自身が、金がないから和解案も出せないとか、どうせうちの会社はいつまでも持たないとか言って開き直っています。判決を取っても払ってくるでなし、銀行口座の差押えをしても少ない金額しか残っていない上、多数の差押えが競合する状態です。
 2008年9月12日には、過払い債権者が集団で三和ファイナンスの破産申立をしました。三和ファイナンス側は債務超過ではないとか主張しましたが、判決が確定した過払い債権者にも支払わず強制執行しても支払われない状態(こういう状態が破産法でいう「支払停止」に当たることは明らかです)では、破産法上破産原因となる「支払不能」が推定されます。そのような状態である限り、三和ファイナンスが破産法上の破産要件を満たしていることは疑いのないところです。2008年10月1日に破産の判断のための三和ファイナンスの審尋が行われ、債務超過でないなどという主張をしても意味がないことをようやく悟ったらしく、三和ファイナンスのスポンサーとなったかざかファイナンス株式会社名義で、「本日(2008年10月1日)現在判決及び和解が成立している全債権について迅速に支払わせる」「三和ファイナンスの今後の過払い請求に対する対応については、当事者間の誠実な協議に基づく和解により債務額を適切に確定させた上で、随時支払っていく考えです。」「かざかファイナンスは、上記について、必要に応じて、三和ファイナンスに対し、随時十分な資金を供給致します。」などと書かれた文書が裁判所に提出されました(破産申立弁護団事務局のご厚意により紹介します)。そして三和ファイナンスは実際に、申立をした過払い債権者に最初はその一部を、その後全額を支払い、その結果、破産申立は取り下げられました。
 そして三和ファイナンス側は破産申立過払い債権者以外についても、2008年10月2日から過払いの判決を取っている弁護士に、過払い金を支払うから判決上の計算額と振込口座を教えてくれと言ってきています。私のところにも2008年10月3日、つい先日三和ファイナンスの控訴が棄却された事件(まだ三和ファイナンスが上告できる期間内ですが)について、10月3日払いの場合と10月6日払いの場合の計算額と振込口座を教えろというFAXを送ってきました。それで判決の主文の金額(当然、支払日まで年5%の法定利息付き)と、訴訟費用(訴状に貼った印紙代、予納郵券の使用分、口頭弁論期日の出席日当、書面作成費など)も法律の規定通り計算してこれも払えとFAXしておいたら、2008年10月6日に全額振り込んできました。
 三和ファイナンスはとりあえず裁判所に提出したかざかファイナンス名義の文書に従って、判決や和解をしたものの支払を順次してきています。それはそうしないと別の過払い債権者から破産申立をされて破産する危険があるからです。その意味で、しばらくは、三和ファイナンスは普通に過払い金を回収できる消費者金融に戻ると見てよいと思います。しかし、この状態がいつまで続くのかはわかりません。

<業務停止処分>
 三和ファイナンスは、借り主に親族から金を調達して返すよう強要したり、電話に出た家族に子どもの学校名を執拗に聞いたり、家族に支払いを強要したり、履歴開示にあたり取引履歴があるのに一部について保管していないとウソを言ったり、和解による返済が終わっているのに取立を続けたなどしたことを理由に全店舗で2007年4月23日から6月4日まで、違反行為のあった店舗ではさらに長い期間、業務停止処分を受けました。
 取引履歴についての虚偽回答では、「まず3年分開示」「二度目の請求に関しては、調査中のFAXを送る」「三度目の請求に関しては、とりあえず5年分を開示する」などと定めた社内規定を定めるなど本社が積極的に関与して組織的に行っていたことが、関東財務局によって認定されています。
 さらに、その後、約30分間に23回以上も取立電話をかけたことと、交渉経過の一部を帳簿に記載しなかったことを理由に違反のあった店舗で2008年5月26日から5月30日までの業務停止処分を受けました。
 「業務停止」と言っても、三和ファイナンスってもう貸付もやってなくて、過払い金も交渉では返さないし、「業務」って取立しかないと思いますけどね。

  三和ファイナンスの取引履歴開示と契約書類開示の実情

裁判外での取引履歴開示
 三和ファイナンスに取引履歴開示請求をすると、写真のような書式のFAXで回答してきます。
 三和ファイナンスは、裁判などで、コンピュータ上の取引履歴は10年経過すると抹消していると主張していますから、こういう形で請求時から10年分しか出してきません。紙の記録は倉庫にあると言ってみたり、あるかどうかわからないと言ってみたり、場当たり的な発言をしています。
 どのみち、組織的に取引履歴隠しと虚偽回答をしていたと関東財務局も認定している貸金業者ですから、コンピュータの取引履歴が抹消されているということも紙の記録のことも、とても信用できませんけど。

裁判で負けたら後出しで出てくる契約書類
 消費者側の弁護士のメーリングリストでの経験談や判決文を読んでいると、三和ファイナンスの場合、取引履歴を開示しなかった部分の推定計算でとんでもなく高額の過払いが認定された場合には、控訴審段階で突然紙の記録が発見されたりします。
 私も最近三和ファイナンスが10年分しか取引履歴を出してこず推定計算で300万円あまりの過払い金が認められた事件の控訴審で、三和ファイナンスが控訴理由書の提出期限も遠に過ぎ控訴審の第1回口頭弁論期日(そのまま行けば控訴審が終結する日)の10日前になって突然証拠が発見されたと称して日付の離れた貸付に関する書類だけ2枚出してきたのでぶち切れました。この業者は、裁判前はもちろん、1審でもいくら出せと言っても紙の記録はないとか見つからないと称して出さないくせに、1審で大負けしたときだけ、控訴審になって、手元にある紙の記録のうち自分に都合のいい部分(つまり貸付部分)だけ、その時初めて発見されたと称して出してくるのです。これほど卑怯な訴訟対応があるでしょうか。
 この件では、三和ファイナンスは1審で初回から事前に提出すべき書類を口頭弁論期日当日に持ってきましたので、私が1審で裁判所に毎回三和ファイナンス側の書類の提出期限を定めるように求め、裁判所もそれに応じて期限を定めてそれを口頭弁論調書に書いてました。しかも三和ファイナンスは1審の終結間際に、契約書類を出すから1回待ってくれと見え見えの引き延ばしを図りましたので、裁判所は法廷で三和ファイナンス側に提出期限を厳守することと言い渡してこれも口頭弁論調書に書いていました。それにもかかわらず三和ファイナンスは約束した書類を提出せずに控訴審になってから突然提出してきたのです。そういう経緯から、東京高裁は2008年8月27日の口頭弁論で控訴審での三和ファイ得ナンスの契約書等の提出を「時機に後れたもの」として許さず、2008年9月24日の判決でその理由を示して、三和ファイナンスは1審ですでに提出可能であった書類を故意に秘匿していたと推認するのが相当であるから、控訴審での契約書等の書類の提出は却下すべきとしました。
 民事訴訟法は、故意または重大な過失によって時機に後れて提出した主張や証拠はそれによって訴訟の終結を遅延させると認められるときは裁判所はその提出を却下できるという規定を置いています(民事訴訟法第157条:「時機に後れた」は変換ミスじゃありません。法律用語では「時期に遅れた」でなくて「時機に後れた」なんです)。しかし、現実にこれが認められることはかなり稀です。東京高裁が今回三和ファイナンスの証拠提出を時機に後れたものとして却下する英断を示したことは、三和ファイナンスのやり方の悪辣さがいかに際だっていたかを示しているというべきでしょう。

  裁判では、名ばかり支配人が対応

 三和ファイナンスは、裁判になると、弁護士に依頼せずに訴訟担当の従業員を支配人として出してきます。他の貸金業者はまだ登記する支配人を少なめにしていますが、三和ファイナンスは2007年10月に取った登記簿でも全国で何と55人、新宿の営業所だけで44人もの「支配人」を登記しています。法律上、支配人というのは営業所を統括する権限を有している人でなければならず、1つの営業所さえ代表できない人物が支配人であるはずもありません。しかも三和ファイナンスの支配人登記はほとんどが過払い金返還請求訴訟が増加した2006年以降になされたもので、過払い金返還請求訴訟の担当従業員を「支配人」と称しているに過ぎません。
 実際、裁判に出てくる「支配人」の裁判能力も権限も、惨憺たるものです。
 右の写真は、過払い金返還請求訴訟を起こすと三和ファイナンスが出してくる典型的な主張ですが、最初見たときは驚きました。要するに、この事例の数字で言えば、借り主の支払(返済金)が合計646万円に対して、三和ファイナンスが法律上受け取っていいはずの貸付金合計425万円、法定利息(年18%)18万円と、裁判で返せと言われている過払い金と法定利息(年5%)の合計がそれより大幅に(135万円)大きいのは「ありえない」というのです。過払い金に法定利息がつく以上、過払いの期間が長くなれば、過払い金の方が返済額と貸付額の差額より大きくなることはおかしなことではなくよくあることです。三和ファイナンスのように金利が高い貸金業者では利息制限法に引き直せばわりと早期に過払いとなります。
 ましてや、三和ファイナンスが言う「年18%の利息より、年5%の利息が多いのはありえません」というのは、金利というものが何なのかまるでわかっていないど素人の発言です。金利は、残元本×期間×利率で計算されるものですから、利率が同じでも残元本の額が違えば全然変わってきますし、期間が違えば全然変わってきます。利息制限法に引き直したときに残高がある期間より過払いの期間がずっと長ければ、利息制限法の利息額(貸し主にとってプラスの利息)より、過払い金の法定利息額(貸し主にとってマイナスの利息)の方が多くなることは不思議でも何でもありません。そういうことを度外視して単純に利率だけ並べて18%の方が5%より大きいから18%の金利の方が5%の金利より大きいはずなんて言うのは、支配人や訴訟担当者どころか、そもそも貸金業者の従業員としての能力に疑問を感じます。そういうレベルの人物が出てきて、こういう金利のことを少しでも知っている人が一目でも見ればおかしいとわかる書類を、平然と裁判所に出しているのです。
 こんな体たらくですから、裁判で判決を取るには何の不安もありませんが、判決をとっても無事回収できるかどうかが、とても不安です。

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