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短くわかる民事裁判◆
訴訟救助の決定
 訴訟救助の申立てを認めるとき、裁判所は訴訟救助の決定をしますが、その決定は、通常、その事件で必要になる訴訟費用全部についてなされるのではなく、特定の訴訟費用についてなされます。
 訴え提起と同時に申し立てた訴訟救助については、訴え提起手数料(訴状に貼るべき印紙)を対象として決定するのがふつうです。
 訴訟救助を認める決定の主文は、「当庁令和○年(ワ)第○○号○○請求事件につき、申立人(原告)に対し、訴え提起手数料○○円について訴訟上の救助を付与する。」とされるのがふつうです。もちろん、この○○請求事件には、その事件の事件名が入ります。例えば解雇を争う地位確認等請求訴訟であれば、地位確認等請求事件につきとなります。
 このように、訴訟救助決定の対象は特定の訴訟費用に限定されていますので、例えば、裁判の途中で訴えの変更をして請求額が増える(法律用語では「請求の拡張(せいきゅうのかくちょう)」をする)場合に、手数料額が増えて差額を納める(差額分の印紙を貼る)必要が生じたときには、その時点で改めて訴訟救助申立てをすることになります。「訴訟救助:資力要件」で説明しているように、資力要件は訴訟救助を求める対象の費用(この場合追加印紙)の支払困難ではなくて、その訴訟全体の費用の支払いの困難性ですので、訴えの変更の内容が荒唐無稽で「勝訴の見込みがない」というのでなければ、形だけ申立てをするという感じです。裁判所は訴え提起時点で訴訟救助を認めてくれた事件ではその後の追加は難しいことをいわずに認めてくれる傾向にあります。

 裁判所が、訴訟救助の要件を満たさないと判断したとき(現実的には資力要件を満たさないと判断したときが多いと思いますが、勝訴の見込みがないと判断されることもあります。それについては、「勝訴の見込みなしとした訴訟救助却下例」で説明しています)には、訴訟救助を認めないという決定をします。その場合の決定の主文は「本件申立てを却下する。」です。(「却下」の意味合いが気になる方は「判決主文:棄却と却下」「棄却と却下:判決以外の場合」をお読みください)

 訴訟救助については「裁判所に納める費用が払えないとき(訴訟救助)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴訟費用が払えないとき(訴訟救助)」でも説明しています。
  

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