◆民事裁判の話
  裁判所に納める費用が払えないとき(訴訟救助)

  訴訟救助という制度

 民事裁判にかかる費用は、現実的には弁護士費用が多くの部分を占めることになります。
 収入・財産が少ないために弁護士費用を支払えない場合は、司法支援センターの法律扶助制度(弁護士費用の立替・分割払い制度)を利用することになります。それについては、「法律扶助の基準」を見てください。
 裁判を起こすときに、裁判所に納める費用が払えないときには、訴訟救助(そしょうきゅうじょ)という制度があります。訴訟救助の対象は、裁判費用となっていますが、現実的には裁判を起こすときに訴状に貼る印紙代です(印紙の額については「裁判所に納める費用(民事裁判)」を見てください)。訴訟救助の決定があると、訴訟費用の支払い(印紙)が裁判終了まで先送りされます。先送りされてどうなるかというと、判決で決まる訴訟費用の負担に応じて決着するということです。全面勝訴で、訴訟費用は(全部)被告の負担とするという判決になれば最終的に支払は不要(印紙は貼らないまま)になります。敗訴して訴訟費用は原告の負担とするとなったら、その時点で印紙代を支払え(印紙を貼れ)ということになります。
 印紙代は、たいていの場合、せいぜい数万円ですから、全く払えないということはそう多くはありませんが、弁護士費用について法律扶助を使うときは、司法支援センターの方では、印紙代は立て替えずに訴訟救助を利用するようにということになりますので、訴訟救助を申し立てるというケースが大半です。

  訴訟救助の申立

 訴訟救助を申し立てるときは、訴状には印紙を貼らずに、訴状と一緒に訴訟救助申立書を提出します。
 訴訟救助の要件は、訴訟費用を支払う資力がないことと勝訴の見込みがないとはいえないことです。この要件は、法律扶助の要件と同じです。
 それで、昔は、法律扶助を受けていることの証明書だけで訴訟救助が認められていた記憶がありますが、近年の東京地裁では、それだけではなかなか認めてくれなくて、資産がないことの報告書を出せと言われることになります。
 印紙代は、たいていの場合、数万円程度ですから、それを払えないというところまできちんと証拠を出せと言われたら、困ってしまいます。通常は、収入と資産についての資料、給料明細書とか預金通帳の写しをつけて、収入や資産が少ないことを書いた報告書を出します。裁判所から、それでは足りないと追加の報告書を求められることもあります。
 裁判所は、訴訟救助の申立がある場合、訴訟救助についての決定をしてから被告に訴状を発送します。つまり、訴訟救助について決定するまでは訴状も被告に送られないということになりますので、ここでのんびりしていると裁判の開始がズルズル遅れていくことになります。ときどき、たかだか数万円(1万数千円のことで裁判所とやり合っていたことも・・・)のことで、どうしてこんなめんどうなことやらなきゃいけないの、と思います。
 それから、最初に、対象は実質的には印紙代と書きましたが、理屈の上では予納郵券も対象になり得ます。しかし、郵券まで訴訟救助が出ることはかなりまれで、原告の生活がかなり極限的に貧しくないと無理だと思います。通常、訴訟救助を申し立てる場合でも、郵券は納めます。

  裁判が終わったら

 最初に書いたように、訴訟救助は支払の先送りですから、裁判が終わって判決が出れば、そこで清算することになります。
 民事裁判では、判決の際に必ず判決書で、訴訟費用の負担について決めています。通常、訴訟費用の負担は負けた方に負担させ、その程度は負けの程度に応じて決められます。原告の全面勝訴なら、「訴訟費用は被告の負担とする」となります。原告の全面敗訴なら「訴訟費用は原告の負担とする」です。一部勝訴の場合、例えば「訴訟費用はこれを3分し、その1を原告、その2を被告の負担とする」というような書き方になります。この例では原告が3分の1、被告が3分の2を負担するわけです。
 訴訟救助の決定がされている場合は、この訴訟費用の負担の決定に応じて支払いが請求されます。「訴訟費用は被告の負担とする」なら支払は不要です。「訴訟費用は原告の負担とする」なら全額裁判所から請求されます。一部勝訴で上の例なら、原告に印紙代の3分の1、被告に印紙代の3分の2が、裁判所から請求されます。
 注意を要するのは、和解の場合です。和解をするとき、普通は、「和解費用は各自の負担とする」という条項がつけられます。そうなると、裁判費用はそれぞれが負担するということになって、印紙代は原告の負担ということになりますので、裁判所から原告に印紙代全額の請求が来ます。(和解の場合で、和解費用は被告の負担とするという和解条項も、理論上は不可能ではありませんが、それで被告がOKすることはないでしょう)。

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