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◆民事裁判の話◆
控訴の話(民事裁判)
控訴の手続
第1審の判決に不服がある当事者は、控訴(こうそ)をすることができます。
控訴は、第1審が地方裁判所、家庭裁判所の場合は高等裁判所宛の控訴状(こうそじょう)を、第1審が簡易裁判所の場合は地方裁判所宛の控訴状を、どちらの場合も第1審の裁判所に提出して行います。
控訴状は、判決書が送られてきた日の翌日から数えてから2週間以内に提出しなければなりません。
控訴状には、第1審判決の当事者(住所・氏名)と第1審判決の表示(裁判所、事件番号、判決言い渡し日、判決主文)、控訴する範囲(全部なら全部、一部ならどの部分か)を記載する必要があります。控訴理由は控訴状に書いてもかまいませんが、普通は控訴状には書かずに、別に控訴理由書(こうそりゆうしょ)を提出します。
控訴理由書は、控訴の日の翌日から数えて50日以内(7週間後の次の曜日と見るのが計算しやすいですよ。控訴した日が月曜日なら7週間後の火曜日まで)に控訴審の担当部に提出することになります。控訴理由書の場合は、上告理由書と違って、期限に遅れたら当然に棄却というわけではありません。しかし、事件記録が大量だとか、代理人の弁護士が交替したとかいう理由で裁判所を延長の交渉をすることはできるでしょうが、そうでもなければ出し遅れたら心証が悪くなると思った方がいいです。
控訴審の審理の実情:控訴理由書でほぼきまり
控訴審の大部分は、第1回口頭弁論で弁論終結されています。事件記録が膨大で事件の内容も相当複雑だとか、いわゆる大事件でなければ、当然に第2回口頭弁論がある、とは思わない方がいいです。私の経験した東海第二原発訴訟で東京高裁で16年審理したとか、柏崎原発訴訟で東京高裁で10年審理したというのは例外中の例外です。
通常の事件では、控訴審裁判所は事前に(控訴から50日以内に)控訴理由書を提出させ、相手方に答弁書(控訴理由書に対する反論書)を出させ、それで第1回口頭弁論期日を指定します。ほとんどの場合、裁判長が、控訴理由書について「新しい主張はありませんね」と確認し、「では裁判所の方で判断させてもらいます」なんていって弁論終結、判決期日は・・・というような調子で終わってしまいます。ですから、はっきりいえば、控訴理由書で事実上決まってしまうのですね。
ただ、1回結審だから必ず控訴棄却(1審判決の通り。控訴した人の全面敗訴)かというと、そうとも限りません。私の経験でも、控訴審1回結審で原判決を変更するというのが4回ありました。
控訴の理由は法律上制限されていませんから、何でもいいのですが(もちろん、裁判官を説得できる内容でなければ話になりませんが)、私の経験では、東京高裁で逆転した判決はほとんどは法律解釈の部分での意見の違いでした。どうも高裁の裁判官の関心は、法律論のところにあり、事実認定の誤りというのは、なかなか興味を持ってくれない感じがします。つい最近、2007年7月11日に逆転勝訴をもらった事件では、貸金業者が取引履歴を廃棄した範囲について事実認定が微妙に覆って勝訴になりましたが、これは珍しい例だと思います。事実関係を高裁でひっくり返すことを期待するとか、ましてやそのために証拠を隠し持っておくというのは、賢いやり方とはいえません。
控訴審を受任する難しさ
弁護士の立場からは、負けた事件の控訴審というのは、大変難しいものです。もちろん、第1審で負けているわけですから、一般的にいって勝訴の見込みは低いです。それを別にしても、第1審を自分でやった事件については、普通、自分の考えの及ぶ限りのことは第1審でやり尽くしていますから、第1審判決がよほど無茶な判決でなければ、新たにやれることはなかなか思い浮かびません。といって別の弁護士がやって負けた事件について相談されても、まず控訴期間中の2週間(それも実際に相談に来るときには数日後なんてことがままあります)で事件記録を検討して見通しを立てるなんてことは多くの場合無理です。控訴した上での相談でも、一から記録を読んで50日以内(これも相談された時点ではもっと短い場合が多いです)に説得力のある控訴理由書を書けといわれても、現実的には難しいです。
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