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短くわかる民事裁判◆
民事裁判書類の電子提出(mints試行中)
 民事訴訟法の2022年改正が全面施行されると、訴えの提起はインターネットを利用して訴状を電子提出することができ(弁護士は電子提出を義務づけられます)、その他の裁判書類も電子提出することができ、送達も電子送達(システム送達)されることになります。この民事訴訟法改正の施行時期は、遅くとも2026年5月25日(公布の日から4年を超えない範囲内の政令で定める日)なのですが、残り7か月となっている今なお定められていません。

 民事裁判書類の電子提出は、裁判所が運営する mints と呼ばれるシステムで行われることになっています(当初最高裁は別のシステムを開発すると言っていましたが)。
 現在、裁判所は、「試行」として、双方が合意した事件で、法律上送達を要しない(ファクシミリで提出できる)文書について、mints にアップロードする方法による提出を認めています。
 mints を利用するためには、裁判所に申し込んでアカウントを登録し、mints のサイトにアクセスし、サインイン(登録したメールアドレスとパスワードを入れ、その上であらかじめ登録したスマホ宛てに確認コードが送られてそれを入力する:確認コードを自動音声の電話で読み上げ告知という方法も選択はできますが)する必要があります。サインインできたら、事件一覧から事件を選び、書類をアップロードする、相手方等が提出した書面をダウンロードするということになります。
 書面はpdfファイルでアップロードします(他のファイル形式、例えばワードファイル(docx等)で提出したものは参考提出扱いになります。準備書面のほか、書証もアップロードできますが、カラーの書証は紙で改めて提出することとされています(本来、カラーの文書こそ電子提出になじむと思うのですが))。
 相手方が書面をアップロードすると、登録したアドレスにメールで告知があり、それを見て mints にアクセスしてダウンロードすることになります。相手方の提出物については受領書の提出を求められ、これは「受領書作成」のボタンをクリックすると勝手に作ってくれるので楽ですが、提出ボタンを押すと、自分が受領書を提出したということを告知するメールが届き、煩わしいです。
 teams が平日の午前8時から午後8時までしかアクセスできないのに対して、mints は24時間365日アクセスできるのは助かりますが、 mints は仕組み上、弁論準備とかを行う teams とは連携もしておらず、提出した書類の保管庫以上の機能も意味もない状態です。
 保管庫としてみたとき、双方の提出物が1文書につき各横1段(1〜3行くらい)で表示され、画面上全画面表示にしたとき(1文書につき1行表示になったとき)で6段分程度、そうでなければ3〜4段分しか見えず、文書が多くなるとスクロールして見ることになります。以前は4段分で次のページ(次のタブ)に行かないといけなかったのが、2025年10月25日の改修で少なくとも数十行までは1ページで表示されるようになりました(とりあえず、私がやっている事件で36段までは1ページに収まっていることを確認済み。それ以上どこまで1ページに入るかは不明)。ページの切り替えは不要になっても、一度に見える範囲が狭く一覧性が低いのはやはり使い勝手が悪いです。文書表示の窓部分の高さをより高くして一覧性をもっと改善してほしいなと思います。
 なお、以前は、文章のアップロードのみメールで通知されていたのですが、2025年10月25日の改修で、文書を(相手方が)ダウンロードないしは開いたというのも通知されるようになりました。それは便利になったというべきか、煩わしいメールが増えたというべきか。
(2025.10.13記、10.27追記)
 訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
  

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