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  ◆民事裁判の話(民事訴訟の話)庶民の弁護士 伊東良徳のサイト モバイル新館

 民事裁判の始まり 

ここがポイント
 裁判を起こしたい人(原告)が相手(被告)を決めて裁判所に訴状を出すと民事裁判が始まる
 訴状を受理した裁判所は原告の都合を聞いて第1回期日を決めて被告に呼出状と答弁書催告状を送る
   

  民事裁判はどのようにして始まるのですか

 民事裁判では、裁判を起こした人を「原告(げんこく)」、裁判を起こされた人を「被告(ひこく)」と呼んでいます。

訴状の提出

 民事裁判は、原告が被告を決めて(誰を相手にするのかを決めて)裁判所に「訴状(そじょう)」を提出することから始まります。
 訴状には、原告と被告の氏名と住所、原告が何を請求するのか(「請求の趣旨(せいきゅうのしゅし)」といいます)、その請求の理由となる事実関係(「請求の原因(せいきゅうのげんいん)」といいます)を書きます。また自分の主張を裏付ける証拠書類があるときにはそれも併せて提出します。証拠書類を出すときは原告側は「甲第〇号証」というように番号を付けます。

電子申立て(mints)

 2026年5月21日から、訴えの提起は、裁判所の電子システム(mints)を用いて電子申立てをすることができるようになりました。当事者(原告)から委任された訴訟代理人(弁護士等)は、電子申立てを義務づけられています。一般人は(したがって本人訴訟の原告は)電子申立ても従来通りの紙ベースの申立てもできます。
 電子申立ての場合、アカウント登録をして(登録はこちらから:裁判所のサイト)、mintsのサイト(こちら)にサインインし、そこで訴状を作成(入力)して(現実には自分のパソコンで先に請求の趣旨や請求の原因を文章化し、必要な添付ファイルの電子ファイルを準備して)提出ボタンを押して申立てをします。
 その後、裁判所が事件と原告(原告代理人)のアカウントを関連付け、そのことがmintsから登録アドレスにメールで知らされますので、改めてサインインして書証と証拠説明書等をアップロードし、裁判所から示された手数料納付情報を用いてペイジーで訴え提起手数料を支払います。
 その後、裁判所と第1回期日の日程調整をし、多くの場合、被告への訴状送達がシステム送達ではできない(被告または被告代理人弁護士からシステム送達を受ける旨の届け出が出ない:それがふつう)ため、裁判所がmintsにアップロードした訴状(原告が提出した控えではない)をプリントアウトした出力書面を裁判所に持参または郵送することが求められます。電子ファイルで提出したはずなのに、わざわざそれをもう一度ダウンロードして紙に印刷して裁判所に持参または郵送するって、世間の人が想像するオンライン申立てと全然違うと思うのですが、それが「民事訴訟のIT化」の実情です。
 (訴状送達前に被告からシステム送達を受ける旨の届け出がなされたという場合以外は)この訴状ファイルの出力書面が裁判所から郵便(特別送達)で被告に送られ、被告がそれに応訴する(被告に弁護士がつけば、答弁書と乙号証、証拠説明書、訴訟委任状等の添付書類、システム送達を受ける旨の届け出書等をmintsにアップロードし、被告が本人訴訟のときは、mints利用か紙ベースでの対応かを選択)ことで民事裁判が始まります。

紙ベースの申立て

 紙ベースで申し立てる場合は、訴状、書証(甲号証)、証拠説明書を作成印刷して準備します。裁判所に出す書類は大抵そうですが、訴状も証拠書類も、裁判所に提出する「正本(せいほん)」を1つと相手方に渡す「副本(ふくほん)」を相手方の数だけ提出します(もちろん、自分の控えも持っておく必要があります。あとになって裁判所と相手方に何を出したかわからなくなったら、裁判が進められませんから)。
 訴状に添付する書類(法定代理人による訴えの場合それを示す資格証明書:戸籍謄本等、法人の場合法人登記簿登記事項証明書、不動産に関する訴訟の場合不動産登記簿謄本等)がある場合はその原本を用意します。
 それらを持って裁判所の窓口に行って手続するか、訴状等の正本と副本、添付書類の原本を郵送します。
 訴え提起手数料は、後日裁判所から手数料納付情報が送られてきます(FAX等)ので、それを用いてペイジーで納付します。
 その後、裁判所と第1回期日の日程調整をし、裁判所が訴状の副本、期日呼出状、答弁書催告状を被告に送達し、被告がそれに応訴する(被告に弁護士がつけば、答弁書と乙号証、証拠説明書、訴訟委任状等の添付書類、システム送達を受ける旨の届け出書等をmintsにアップロードし、被告が本人訴訟のときは、mints利用か紙ベースでの対応かを選択)ことで民事裁判が始まります。

その後の書面等の提出と受領について

 紙ベースで申立てをした場合でも、事件記録は電子化され、裁判所書記官が提出された訴状等の書面を電子化(スキャナーで読み取りpdfファイル化する)して記録します。そして、電子化して記録されたファイルが正式の事件記録となります。
 本人訴訟の原告が紙ベースの申立てをし、システム送達を受ける旨の届け出をしない場合(紙ベースの申立ての場合はシステム送達を受ける旨の届け出はしないのがふつうでしょうけど、紙ベースの申立てをしつつシステム送達を受ける旨の届け出をすることも可能です)、被告側は、弁護士がつけば当然に、本人訴訟でもmints利用で応訴すれば、答弁書やその後の準備書面、乙号証等は電子ファイルでmintsにアップロードしたうえでそのファイルのプリントアウト(出力書面)を原告に郵送かファクシミリで直送することになります。その後原告側の提出書面(準備書面、甲号証等)は、裁判所に正本を提出し(持参、郵送、ファクシミリ)、被告に副本を郵送するかファクシミリ送信して直送することになります。その場合も裁判所は原告提出の書類を電子化し、その電子化されたものが正式の事件記録となり、被告はそのファイルをmintsからダウンロードすることができます。
 要するに、原告が紙ベースでの申立てを選択しても、裁判所は当然に、被告も多くの場合はmintsを利用し、ただ原告はmintsを使わずに自分は紙ベースで提出し、裁判所や相手方から紙ベースのもので受け取ることができるというだけです。そして、事件記録は電子化されたものが正式のものですから、もし紙ベースの書面と電子ファイルに食い違いがあったとき(現実に考えられるのは、スキャンするときやプリントアウト・送信するときに1枚飛ばしたとかくらいでしょうから、通常は、受領したもののページ数を確認すれば大丈夫とは思いますが)は電子ファイルが優先されることになります。

訴え提起手数料

 訴え提起の際には、請求の金額に応じて定められている訴え提起手数料を裁判所に納付します。
 以前は、訴え提起手数料は収入印紙を買って訴状に貼り付け、被告の数に応じて定められていた金額と組み合わせの郵便切手を買って裁判所に納めていましたが、2026年5月21日以降に提訴する事件では、訴え提起手数料に一本化され、全体を現金(ペイジー)で支払うこととなりました(その額については「裁判所に納める費用」を見てください)。

  担当する裁判所と裁判官

 担当する裁判所は、家族関係の事件(離婚裁判など)は「家庭裁判所」、それ以外の事件で請求の金額が140万円以下の事件は「簡易裁判所」、それ以外の事件は「地方裁判所」です。
 担当する裁判官の数は、簡易裁判所はすべて1人です。地方裁判所の場合、民事事件では、裁判所が重大な事件とか複雑な事件だと判断したときと、控訴事件(1審が簡易裁判所の事件の控訴審は地方裁判所が担当します)では3人の合議になり、それ以外は1人です。
 訴状が提出されると、裁判所内であらかじめ定められている配点基準(事件の種類ごとに受付順に機械的に配点するのがふつう)に従って、担当する裁判官と書記官を決められます。
 裁判所に専門部や集中部がある種類の事件は、その特定の部に配転されます。例えば、私の得意分野の解雇事件等の労働事件は、東京地裁なら民事第11部、第19部、第33部、第36部(いずれも労働専門部)、さいたま地裁なら第5民事部(労働集中部)に配点され、その中で、配点基準に従って担当裁判官が割り当てられることになります。

(2005.3.21作成、最終更新2026.8.11)

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