庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
1号再審事由:判決裁判所の構成の違反
 「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。」という1号再審事由(民事訴訟法第338条第1項第1号)は、民事訴訟法第312条第2項第1号の絶対的上告理由(判決に影響を及ぼすことが明らかであることが要件とされていないということを「絶対的」と称しています)とまったく同じです。
 上告事件では、口頭弁論終結時の裁判官とは別の裁判官が判決書に署名押印しているときや、裁判官交代時に弁論更新手続を行わなかったとき、口頭弁論期日調書に裁判官名が記載されていない等のケースで、この理由に当たるとして原判決破棄となってものが相当数見られます(それについては、「判決裁判所の構成の違法:口頭弁論終結時と別の裁判官による判決」「判決裁判所の構成の違反:適法な更新弁論の欠落」などのページで紹介しています)。
 再審請求で1号再審事由が認められたものを私は発見できませんでした。(1号再審事由が主張されているというものさえ、大阪高裁2007年3月6日決定判例時報2012号18ページ【24】で、1号についてはこれに該当する具体的事由につき何ら主張立証していないと一蹴されているのを見つけたくらいです)
 もっとも、上告事件での破棄の事例が、それなりの件数あることを考えると、実際には埋もれているケースがありそうです。上告事件で破棄された(発見された)のは最高裁の職権による判断で、当事者が主張した(発見した)ものは見当たりません。ことがらの性質上、事件記録を閲覧謄写して、口頭弁論調書の記載と判決書の記載を照らし合わせることでしか発見・確認できず、他方それだけで証明できるものですので、確認したければ記録閲覧・謄写を励行するということになります。
 実行する意欲を生じることでもないですけどね。

 私に再審の相談をしたい方は、「再審メール相談」のページをお読みください。

 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる「再審請求」でも説明しています。

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話