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【民事裁判の始まり】
 民事裁判は、訴えを起こす人(原告)が、訴えの相手方(被告)と被告に対する請求を決めて、裁判所に「訴状」を提出することで始まります。

《訴状の作成》
 訴状には、当事者を(住所と氏名などで)特定した上で、判決でいえば「主文」に当たる「請求の趣旨」と、請求の根拠となる事実と法律構成をまとめた「請求の原因」を記載します。請求の趣旨は、原告が裁判所に判決で命じてもらいたい内容ということになります。請求の原因の事実関係を書くときには、手持ちの証拠書類で証明できる事実については括弧書きで証拠書類を引用し、その証拠書類も訴状と同時に提出します。証拠書類には、原告側は「甲第*号証」という番号を振ります。
 裁判所は当事者が請求していないことを判決で命じることはできませんから、請求の趣旨は、裁判所に命じてもらう必要があることをきちんと満たしているかをよく検討する必要があります。また裁判所は、基本的には当事者の主張する法律構成と事実の範囲でしか判断できませんから、ほかに考えられる法律構成と事実のパターンがないか、選択できるときは有利な選択をしているかについても検討しておく必要があります。

このあたりは「民事裁判という制度」の「何が請求できるのか」「何が判断されるのか」とあわせて読んでください。

 訴状に記載した請求の趣旨や請求の原因は、訴訟の途中で変更することができ、訴訟の過程で明らかになった事実(証拠により証明された事実)にあわせた変更には裁判所も寛容です(証拠で証明できない主張は、捨てた方が裁判所には歓迎されます)。しかし、そうでない場合は裁判所には歓迎されませんし、頻繁な変更や裁判の終盤での変更となると裁判所の心証は悪くなると考えるべきですから、最初の段階できちんと検討する方が得策です。

《訴状の提出》
 裁判所に提出する書類は、基本的にすべてそうですが、訴状と訴状に添付する証拠書類は、裁判所用の「正本」と相手方に渡す「副本」と自分が持っておく控え(控えを作ることは法律上必要なわけではありませんが、裁判所と相手方に何を渡したのかわからなくなったら裁判をやってられませんので、当然作っておきます)を作り、正本と副本を裁判所に提出します。正本は1通、副本は相手方の数だけ作ります。被告が1人なら副本も1通です。
 訴状には、当事者の「資格」を証明する書類が必要な場合があります。当事者が「法人」(会社など)の場合は、「資格証明書」ともいいますが、法人の登記簿謄本をつけます。代理人が裁判を起こすときは代理権の証明書もつけます。弁護士が当事者から依頼を受けて裁判を起こすときは「委任状」が代理権の証明になります。
 訴状を提出するときは、裁判所に納める手数料分の印紙を「正本」に貼り、同時に裁判所が定めている金額と組み合わせの郵券(郵便切手)を納める(裁判業界では「予納」「予納郵券」などといいます)のが通常です。最近は裁判所によっては、現金で預ける場合もあります。
 手数料の額は、請求額に応じて決まっています。予納郵券額は裁判所によりますので、裁判所に聞くか、裁判所のサイトの「各地の裁判所」のコーナーで確認することになります。

手数料の額は、「民事裁判の費用」で説明しています。

《受付での事務:提出に行くと》
 訴状は、裁判所の「民事受付」(裁判所によって「民事訟廷事務室」とかの名称を使っていることもあります)に提出します。
 民事受付では、裁判を起こす裁判所が間違っていないか、請求が裁判所に請求できないようなものではないか、手数料額があっているかというような形式的なことだけをチェックします。受付段階では、その形式面でのチェックで問題があっても、具体的には担当部と協議するという前提で受け付ける(受付で拒否はしない)ことが多いです。
 受付はチェックを終えると事件番号を振り、担当部を決めます。事件番号は、受け付けた年と記号と番号で成り立っています。裁判所は年は西暦ではなく元号で表します。記号は地方裁判所の1審の通常民事事件は(ワ)、簡易裁判所の1審の通常民事事件は(ハ)です。番号は受付順に振ります。ですから東京地裁で2023年に最初に提訴された通常民事事件は、東京地裁令和5年(ワ)第1号事件になります。担当部は、受付順に機械的に割り振られます。
 訴状が受け付けられたということの証明方法には受付印と受付票があります。訴状を提出するときに訴状の控えを持って行って受付印を求めるとその場で押してくれます。裁判所で受付票を用意していて、事件番号と担当部を記載した上で渡してくれることもあります(コロナ前の東京地裁ではそれがふつうでした)が、事件番号と担当部をその場では教えてくれず、後で担当部から連絡があるからといわれることもあります。

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