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短くわかる民事裁判◆
訴訟救助事件終了後の支払決定・取立決定後の流れ
 訴え提起時に原告に資力がないとして訴え提起手数料等の支払いを猶予する訴訟救助決定がなされた事件が終了して確定したとき、裁判所は、裁判の結果に応じて、訴訟費用を支払うべきこととなった受救助者または相手方に、まずは任意に支払うように求め(裁判所では「任意納付催告(にんいのうふさいこく)」などと呼んでいます)、それでも支払がない場合は、受救助者が支払うべき場合は「支払決定(しはらいけってい)」、相手方が支払うべき場合は「取立決定(とりたてけってい)」を行います。
※受救助者(原告)が全部敗訴して確定したときや訴えを全部取り下げたときは、裁判所は訴訟救助決定を取り消すことなく直ちに支払決定をすることができますが、一部敗訴の場合や和解の場合は、受救助者の資力の回復を待って(調査して)訴訟救助決定の取消決定をした上でないと支払決定ができないと解されています(それについては、「訴訟救助事件終了時の受救助者への支払命令」で説明しています)。他方、相手方への取立命令は、相手方が受救助者に支払う義務のある範囲に限定されるという制約があります(それについては、「訴訟救助事件終了時の相手方への取立命令」で説明しています)。 

 支払決定・取立決定がされた後の裁判所の手続は、通常うかがい知ることができません(経験上は、そもそも任意納付催告もないうちに払ってしまうので)が、裁判所内では次のような手順で進められるそうです。

 裁判所が支払決定・取立決定をすると、書記官は、その決定正本を添えて、裁判所の会計課に(書面上は「歳入徴収官(さいにゅうちょうしゅうかん)」宛て)「債権発生通知書(さいけんはっせいつうちしょ)」を送付します。
 歳入徴収官(地裁の場合事務局長)は、調査決定(会計法第6条)をし、納入告知書を送付します。納入告知書は、財務省会計センターが送付しています。
 納入告知書に指定された期限までに支払いがないときは、督促を行います。
 それでも支払がないときは、強制執行の手続に入り、裁判所の手を離れて、法務局の所管となります。
(以上につき、2018年度書記官実務研究報告書「民事訴訟等の費用に関する書記官事務の研究」228~235ページ)

 訴訟救助については「裁判所に納める費用が払えないとき(訴訟救助)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴訟費用が払えないとき(訴訟救助)」でも説明しています。
  

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