たぶん週1エッセイ◆
多田謡子反権力人権賞2012
 今年も多田謡子反権力人権賞の季節がやってきました。
 ここのところ毎年お知らせしていますが、私は、多田謡子反権力人権基金の運営委員、この基金が運営している多田謡子反権力人権賞の選考委員をしています(詳しくはこちら)。 
 今年は10月17日、10月23日、11月2日の3回の運営委員会で、受賞者の選考が終わり、本年度は、松沢弘さん(反リストラ産経労委員長)、相沢一正さんと根本がんさん(茨城県・東海村での反原発闘争)、神田香織さん(講談師)の3者を選出しました。相沢さんと根本さんは茨城県と東海村の反原発運動の中心となってきた2人でセットの受賞です。
 今年の受賞発表会は12月15日(土)午後2時から総評会館(お茶の水)201号室で行われました(総評会館は、噂によれば名称が変わったそうですが、志を同じくする人たちにはこの名称でいつまでも通じると思います)。

 松沢弘さんからは、産経新聞との懲戒解雇をめぐる裁判の中で、松沢さんに御用労組の改革を指示した上司たちが出世して会社側の主張に沿う陳述をしている様子や、メディアによる貴社の首切りをめぐって報道しようともしない司法記者たちの姿が語られ、メディアというのは扱っているのが情報だというだけで利益を極大化しようとすることでは普通の企業と変わらないと実感したという言葉が私には印象的でした。
 根本がんさんからは、50年にも及ぶ反原発の闘いの中で、買収や公安による脅しなどの運動潰しの経験などが語られ、運動は振り返るものではない、進んでいくしかない、運動を長くやっていくと死んだり運動から離れていく者が出てきて次第に仲間は減っていくが、他方で運動が続いているということは相手をまだ圧倒できていないからでもある、いま反原発の運動は高揚しているがこれから先長くやっていける力を蓄えているといえるかはよく考えなければならないなどの厳しい言葉が印象に残りました。相沢一正さんからは、東海再処理工場の反対運動で学んでいたがまだ周辺にいた相沢さんが運動に積極的になっていったきっかけは、東海第二原発の地鎮祭で日本原電の社長が東海第二原発の安全性は運転しながら確かめていきますというのを聞いて住民はモルモットかと思ったことにあったことが明かされました。
 神田香織さんからは、今も拡がる放射能による食品汚染の問題をマスコミは隠すように選挙でも原発を争点として報道しないようにしているという指摘があり、チェルノブイリ後のウクライナの保育所を訪ねた経験で子どもたちがとても静かなことに驚き聞いてみるとみんな3つ4つの病気があるとのことだった、食物からの内部被ばくの影響が大きいとのことだった、しかし福島ではそれよりも汚染レベルの高い地域に子どもたちがたくさん住んでいるということ、避難民の人たちの苦しみなどが語られました。

 基金の現状では、少なくとも来年は継続できることになっています。また来年お会いしましょう。
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