たぶん週1エッセイ◆
映画「パッセンジャーズ」
ここがポイント
 ラストの謎解きというかどんでん返しのアイディア一発に頼った、そこで驚きなり感心すればよし、そうでなければすべてがバカバカしくなる映画

Tweet 

 「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウェイの最新作「パッセンジャーズ」を見てきました。
 封切り2週目土曜日午前中、新宿武蔵野館ではほぼ満席でした。

 この映画、飛行機事故(飛行中のトラブルで胴体着陸)で奇跡的に生き残った5人の乗客のカウンセリングを任されたセラピストのクレア・サマーズ(アン・ハサウェイ)が、乗客の語る事実から航空会社の説明に疑問を抱き・・・という設定なんです。公式サイトの説明は「その真相を追ってはいけない」「飛行機事故で奇跡的に生き残った5人の乗客(パッセンジャーズ) 何故、彼らだけ生き残ったのか?」と大書され、予告編では「5人の生存者の謎と、彼女だけが知らない驚愕の真相」と結んでいて、心理サスペンスと紹介しています。
 見終わった感想としては、ラストの謎解きというかどんでん返しのアイディア一発に頼った、そこで驚きなり感心すればよし、そうでなければすべてがバカバカしくなる映画でした。結局のところ、何か問題提起をするわけでもなし、見ていて楽しいわけでなし。
 「7つの贈り物」と似たようなものでしょうか。実質的な売りが、ラストの「真相」と、主演のネームバリューというのが共通点です。

 そういう映画ですから、ストーリーは紹介しませんが、だいたい最初から設定に無理を感じます。臨床経験のない学位ばかり取っている駆け出しのセラピストが、いきなり航空機事故で生き残った乗客全員のカウンセリングを任せられるということ自体、かなり非現実的。事故原因が機長の油断(操縦を副操縦士に任せてコックピットから出ていた)か飛行中にエンジンが爆発したかをめぐって航空会社の幹部とセラピストが対立するというのですが、冒頭シーンで登場するように陸地に胴体着陸してあれだけ機体が残存していてエンジンの爆発があったかどうかがわからないとか、爆発してるのに航空会社がそれを隠しおおせるとかいうのもかなり無理筋。セラピストの行動もいろいろ疑問がありますが、それはまぁ新米だし大目に見るとして。
 そういう見ていて普通に感じる疑問に何らかの合理的説明というか、言い訳があるかなと思っていたら、ラストがあれでは・・・、説明も何も、何でもアリになっちゃう訳ですから。
(2009.3.15記)

**_****_**

 たぶん週1エッセイに戻る

トップページに戻る  サイトマップ