たぶん週1エッセイ◆
映画「7つの贈り物」
ここがポイント
 ラストに至る経過、ラストの驚きと「ウィル・スミスが主演だから一応見とこうか」ということに尽きる映画
 素直に作れば確実に泣けるテーマを、なんか釈然としないなぁという感覚で終わらせられるのが残念

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 ウィル・スミスの最新作「7つの贈り物」を見てきました。
 封切り2週目土曜日ですが、ガラガラでした。

 国税庁の徴収係ベン・トーマスと名乗る男(ウィル・スミス)が、7人の人物を調べ、人が見ていないところでもいい人だったら、その人の人生を永遠に変えるような贈り物をするというコンセプトで、なぜ彼がそのような行動をとるのか、贈り物は何なのかの謎解きを売りにした映画ですので、ストーリーを書いてしまうのが、さすがに躊躇されます。動機の方は、わりと早い時期に示唆され、なぜ7人なのかもわかっちゃうので、公式サイトがストーリーわずか6行で「それ以上のことは、ひと言も明かせない」なんて言っているのは、単に毎度情報が極端に少ない不親切な公式サイトばかりのソニー・ピクチャーズの怠慢と思ってしまいますが。
 実際、ラストに至る経過、ラストの驚き(といっても、救急車を呼び、自殺者がいる、それは僕だというファーストシーンが再度流れるあたりでは大方予想がつきますが)と「ウィル・スミスが主演だから一応見とこうか」ということに、制作側も賭けていると思いますし、見る側もそれに尽きる感じです。

 最初の方、話が錯綜し、どれが7人なのか、7人がきちんと贈り物を受け取ったのか、最後まで把握しきれませんでした。7人も無理に数あわせしている感じで、実際にはそれなりに描かれるのは3人ですし。
 予告編で使っている、「神は7日間で世界を創造した。僕は7秒間ですべてを壊した」という大仰な言い回しも、ウィル・スミスの立場からはまぁわかりますが、観客側としてはちょっとしらけます。
 ストーリーそのものは、かなり感動的な話だと思います。しかし、この映画では、ミステリー仕立てにして謎として残そうとするあまり、どうもそれが明かされるラストに感動できませんでした。うまく扱えば、というより、ふつうに描けばもっと感動できるエピソードのはずなのに、残念です。
 むしろ、ウィル・スミスがエミリー・ポーサ(ロザリオ・ドーソン)と恋仲になってしまい、医者に心臓病のエミリーに「珍しい血液型」の心臓ドナーが現れて助かる確率を問いただすシーンが、将来を閉ざすのではなく将来を共に生きたいというウィル・スミスの迷いが見て取れ、ちょっとよかったかなぁというところです。
 でも、素直に作れば確実に泣けるテーマを、なんか釈然としないなぁという感覚で終わらせられると、次も「ウィル・スミス主演だから一応見とこうか」と思えるかは疑問です。

(2009.3.1記)

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