たぶん週1エッセイ◆
映画「HICK-ルリ13歳の旅」
 クロエ・グレース・モレッツ主演の青春映画「HICK-ルリ13歳の旅」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、全国8館東京では唯一の上映館のヒューマントラストシネマ渋谷シアター3(60席)12時20分の上映は5〜6割の入り。

 ネブラスカ州の農村で暮らすルリは、13歳になったばかりの絵を描くのが好きな内気な少女だったが、母親が男と車でどこか旅に出てしまい、それを聞いたアル中の父親も車で出ていき、一人残されて、ラスベガスへの旅を決意する。13歳の誕生日に父親からもらったS&W45口径の拳銃とスケッチブックをバッグに詰めてヒッチハイクを始めたルリは、片足の不自由な青年エディ(エディ・レッドメイン)のトラックに乗り込むが、最初は気のいい青年だったエディが気まぐれで感情の起伏の激しい面を見せ始め口論になって車を降りる。草原で野宿していたルリは、そばで立ちションを始めたグレンダ(ブレイク・ライブリー)に車に乗せてもらうが、グレンダはルリにコカインを勧め、売店でのレジ泥棒を手伝わせたりする。最終的にグレンダの恋人がオープン準備をしているバーにたどり着くと、そこにはバーテンとして雇われたばかりのエディがいた。エディは、グレンダと恋人の邪魔をしちゃいけないといってルリを車で連れ出すが・・・というお話。

 ルリの旅先で会う大人はどこかいかれた人ばかりで、夢見がちなティーンエイジャーよ、世の中はそんなに甘くない君たちが思っている(願ってる)通りじゃないよ、でも諦めないで勇気を出して新たな世界に跳びだそう、そういうメッセージを込めた作品だと思います。安全を考えて日常を継続していくのか、新たな世界への期待を優先してリスクをとるのか、それを13歳にも決断させるのか。思想的な背景や紛争・闘争もないけど、60年代っぽいテーマを感じました。
 私には、「キック・アス」の無邪気で愛くるしくもおませなかっこいいヒット・ガールのイメージが消えないクロエ・グレース・モレッツが、思春期の哀しみと怒りをたたえた表情を見せ続けるところに、あぁこの子も大人になってきたんだという親目線の感傷が先立ってしまいます。

 原題のHICKは(HIKEじゃないですから)、ヒッチハイク (hitchhike) の略ではなく、田舎者、教養のない人の意味のようです。田舎者の都市への憧れとその憧れから来る行動ということか、無教養な人が旅・小さな冒険を経て成長していくということを示唆しているのでしょうか。

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