庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

    ◆解雇事件よもやま話庶民の弁護士 伊東良徳のサイト モバイル新館
  1審敗訴事件の控訴審での和解

ここがポイント 
 1審敗訴事件で高裁で逆転できなくても相応の和解ができることはある 
 昨年(2025年)、1審で敗訴した解雇事件で、高裁(控訴審)で裁判官から原審維持の心証(したがって控訴審も判決なら敗訴)を示されつつ、月例賃金12か月分超の解決金で和解したものが2件ありました。

 1件は1審で裁判官がバックペイ(解雇後和解勧告時点までの賃金)相当の和解を会社に提示したが会社側は原告に金を払いたくないと拒否した事案(裁判官からそう聞かされました)。それなら勝訴(解雇無効)かと思ったのですが、判決は解雇有効で敗訴。労働者の問題行動多数が主張され認定されていたものの会社の業務上の支障がさほどではないケースなので、それを強調した控訴理由書を作成提出しました。
 控訴審は1回結審で弁論終結、そのまま和解期日が持たれ、主任裁判官と話して心証は原審維持(解雇有効)と言われました。解決金の希望について聞かれて、本人の希望は年俸2年分以上なので、それを伝えましたが、それは無理でしょということでその場で協議し、裁判所から会社に月例賃金12か月分超の案を提示してもらうことになりました。
 1審での話から、会社側は拒否するだろうと予想していましたが、その線で応じるということで和解が成立しました。理屈からすれば、高裁でも和解を拒否すれば勝訴できるのだから会社側が飲む理由がないし、1審で原告に金を払いたくないとまで言っていたことを考えれば不思議なものです。やはり高裁の裁判官はオールマイティかと感じました。

 もう1件は、1審は別の弁護士がやって敗訴したのを控訴審から受任して、解雇は重すぎるという点を追加書証をかなり付けた控訴理由書を作成提出しました。
 控訴審で和解勧告があり、主任裁判官に心証を聞きましたが合議の結果原審維持ということでした。それでも主任裁判官として思うところがあったようで、和解については裁判所としても頑張りたいという話があり、渋る使用者側を裁判官が強力に説得してくれたらしく、月例賃金12か月分を相当超える解決金で和解しました。

 逆転勝訴できなかったのは残念ですが、1審判決を覆せなくても、相当な解決ができることがあるということを経験しました。
 同じ時期に、同様に高裁が和解勧告しても会社側は聞く耳持たぬで和解を拒否され、やはり敗訴(解雇有効)だった事件もあり、いつもうまくいくわけでもないのですが。 
(2026.3.5記)
【解雇事件よもやま話をお読みいただく上での注意】
 私の労働事件の経験は、大半が東京地裁労働部でのものですので、労働事件の話は特に断っている部分以外も東京地裁労働部での取扱を説明しているものです。他の裁判所では扱いが異なることもありますので、各地の裁判所のことは地元の裁判所や弁護士に問い合わせるなどしてください。また、裁判所の判断や具体的な審理の進め方は、事件によって変わってきますので、東京地裁労働部の場合でも、いつも同じとは限りません。

**_**区切り線**_**

解雇事件よもやま話に戻る

 労働事件の話(解雇)に戻る労働事件の話(解雇)へ
   

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

私に相談・事件依頼をしたい方へ 私に相談・事件依頼をしたい方へ