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短くわかる民事裁判◆
上告の提起、上告受理の申立て
 上告の提起、上告受理の申立て(上告裁判所が最高裁の場合のみ)は、上告裁判所宛の上告状、上告受理申立書を、判決書(調書判決の場合は判決書に代わる調書)の送達を受けた日から2週間の上告期間・上告受理申立期間内に、原裁判所の民事受付に提出して行います(民事訴訟法第314条第1項、第313条、第285条、第318条第5項)。
 最高裁への上告の場合、上告の提起と上告受理の申立書を1通の書面(上告状兼上告受理申立書)で行うことができます(民事訴訟規則第188条)

 ファクシミリでの提出はできません(民事訴訟規則第3条第1項第1号:民事訴訟費用法の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面になるので。1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(U)」9ページ)。
 上告状、上告受理申立書あるいは上告状兼上告受理申立書を提出する際には相手方の数の副本も同時に提出します(民事訴訟規則第186条、第179条、第58条第1項)。

 控訴審の訴訟代理人(弁護士)が控訴をする場合は、通常書式の訴訟委任状には委任事項に「上告もしくは上告受理の申立て」が明記されているので、上告の提起、上告受理の申立ては新たな委任状なく行うことができます。そのまま上告提起等の後の上告審での行為(上告理由書、上告受理申立て理由書の作成提出など)ができるかについては、できるという古い判例があります(最高裁1948年12月24日第二小法廷判決は「特別委任を受けた訴訟代理人は、その事件につき、単に上告提起の権限のみならず、相手方の上告に対する応訴、その他上告審における訴訟追行に必要なる一切の訴訟行為をなすべき代理権限を有すること勿論である」と判示しています:ここで「特別委任」というのは、訴訟委任状の委任事項に「控訴」「上告」があるという意味)が、新たに訴訟委任状を提出するのが通例です(1999年度書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版227ページでも、「実務では、手続及び当事者の意思確認の明確を期するため、上記特別授権の有無にかかわらず、上告提起段階で改めて委任状の提出を求める取扱いが多い」とされています)。

 資格証明書(当事者が法人の場合の法人登記簿一部事項証明書等)についても、「記載事項の変更の有無等を確認視するため、上告提起段階で改めて提出を求める扱いが相当である」とされています(1999年度書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版227ページ)。

 民事受付では、上告状、上告受理申立書の形式と上告提起手数料・上告受理申立て手数料納付と郵券の予納等を確認し(上告提起手数料・上告受理申立て手数料の額について上告人・申立人と裁判所受付の意見が違う場合は、最終的には原裁判所(担当部)の判断になるので、受付では上告人・申立人主張の印紙のままで担当部に回されます)、高裁では事件記録符号(ネオ)(ネ受)、地裁では事件記録符号(レツ)の事件番号を振って、原判決(控訴審判決)をした担当部に上告状、上告受理申立書を回します。

 上告については「まだ最高裁がある?(民事編)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「最高裁への上告(民事裁判)」もばいる「高裁への上告(民事裁判)」でも説明しています。

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