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短くわかる民事裁判◆
理由要旨と目次
 最高裁への上告または上告受理の申立てをした場合(実際には双方をすることが多いですが)、原裁判所(高等裁判所)から、上告提起通知書・上告受理申立て通知書が送達されます(特別送達で送られてきます)。その際、上告提起通知書には「上告理由書の提出について」という文書、上告受理申立て通知書には「上告受理申立て理由書の提出について」という文書が同封されるのが通例です。これらの文書には、通知書を受け取った日から50日以内に理由書を提出すべきこと、上告理由書と上告受理申立て理由書は別々に作成すべきこと、理由書の記載方式、提出すべき副本の数、理由書を提出期限内に提出しなかったり記載方式に違反しているときは却下されることがあるので注意すべきことなどが記載されています。
 これに加えて、「理由要旨及び目次の添付について(お願い)」という文書も同封されてくるのが通例です。高裁ごとに若干記載に違いがあり、私の経験上は、東京高裁は(文書タイトルは「『理由要旨』及び『目次』の添付について(お願い)」)、「頁数が多くなる場合には、理由書に『理由要旨』を添付されるようお願いします。特に、理由書の頁数が20頁(A4判1枚1000字で換算して2万字程度)を超える場合は、『理由要旨』のほか理由書『目次』を添付されるようお願いします」として、「理由要旨」及び「目次」と見出しを付して、理由書中に記載する方式か理由書の別紙として添付する方式かによってくださいとしています。福岡高裁は、「理由書の頁数が15頁を超える場合には、理由書に理由要旨を添付されるようお願いします」として、目次についてはやはり20頁を超える場合に添付を求め、理由要旨の方式は東京高裁と同じ、目次は方式の指定なし。大阪高裁は、提出を要する場合は東京高裁と概ね同じで、「理由書及び目次の様式等は問いませんが、理由要旨はできる限り、『理由要旨』と見出しを付して、理由書の別紙として添付するようにしてください」としてきました。それ以外の高裁は、私は近年の上告経験がありません。
 なお、理由要旨はA4判1枚1000字で換算して1、2枚程度と指定されるのが通例です。
 さて、少なくとも東京高裁、福岡高裁の「お願い」文書には、理由書の中に「理由要旨」と見出しをつけて記載する方式でよいことが明記されている(2つの選択肢のうち、理由書中に記載する方が先に書かれています)のですが、理由書中に「理由要旨」の記載をした場合に、私の経験上、最高裁から記録到着通知に「『理由要旨』及び『目次』の添付について(お願い)」という文書が同封され、「できるだけ速やかに(概ね10日程度)提出」するよう指示されたことが一度ならずあります。ぎょっとして、理由要旨を書き忘れたり方式違反でもあったかと理由書を再検討しても、ちゃんと理由書の中に「理由要旨」(「上告理由要旨」「上告受理申立て理由要旨」)と見出しをつけ、2枚以内で記載しています。それでも裁判所の指示ですので、その都度、理由書のその部分をそのままコピペして独立の文書にしただけのものを正本1通と相手方の数+6通の副本を最高裁の担当小法廷に郵送しました。それでその後特に最高裁から補正等の指示もなく終わっています。ですから、理由用紙の記載方式(そもそも指定もされていませんが)や分量、内容に何か問題があったものではないはずです。最高裁は、内容等をチェックして不備があるということで指示しているのではなく、ただ理由要旨が別紙になっていないというだけで機械的に指示しているものと考えられます。最高裁側がそういう運用をしているので、高裁からのお願い文書で理由書中の記載でよい(というより、理由書中に記載する方式が最初に書かれているのでそちらが望ましいのかとさえ思う)とされていても、理由要旨は別紙にして提出する方が無難です。(なお、目次の方は、理由書中の冒頭に付けて提出して、最高裁から別紙として提出するよう指示されたことはありません)

 上告については「まだ最高裁がある?(民事編)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「最高裁への上告(民事裁判)」もばいる「高裁への上告(民事裁判)」でも説明しています。

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