◆短くわかる民事裁判◆
上告受理申立書の作成
上告受理申立書には、「上告受理申立書の必要的記載事項」で挙げた、当事者及び法定代理人、原判決の表示、その判決に対し上告受理の申立てをする旨(民事訴訟法第318条第5項、第313条、第286条第2項)の他、訴訟物の価額と貼用印紙額、不服の限度、上告受理申立ての趣旨を記載するのがふつうです。
通常のパターンでは、上告受理申立書の宛先(上告裁判所)、上告受理申立て日(上告受理申立書作成日)、上告受理申立書作成者の記名押印、当事者の表示、事件名(1審の事件名の「請求」の次に「上告受理申立て」を挿入)、訴訟物の価額、貼用印紙額、上告受理の申立てをする旨の記載、原判決の表示(原判決の主文)、上告受理申立ての趣旨、上告受理申立ての理由(「追って上告受理申立て理由書を提出する」と記載)を記載します。東京高裁が配布している上告受理申立書の記載例はこちら。
当事者の表示は、上告受理申立てをする者が「申立人」、その相手方が「相手方」とします。
当事者の表示の内容となる氏名、住所、法定代理人の記載などは、訴状について「当事者の表示」で説明したとおりです。
送達場所の届出(民事訴訟法第104条)は、審級ごとという扱いではないので、特に届けなければ1審どおりとされますが、訴訟代理人(弁護士)が上告受理申立書を作成する場合は、上告受理申立書にも自分の事務所の記載に「送達場所」と記載するのが通例です。
上告受理の申立てをする旨の記載ですが、通常は「上記当事者間の○○裁判所令和○年(○)第○○号○○請求控訴事件について、令和○年○月○日、同裁判所が言い渡した判決は、全部不服であるから上告受理の申立てをする。」(全部敗訴の場合は、「全部不服」、一部敗訴の場合は「申立人敗訴部分につき不服」というように記載します。(東京高裁の記載例で単純に「不服であるから」とあるように、上告受理申立書では不服の範囲についてそれほどこだわらなくていい扱いがされています)
この記載により、不服の限度も記載したことになります。
なお、東京高裁の上告受理申立書記載例で記載されている判決正本の送達を受けた日は、特に記載する必要はないですが、上告受理申立書提出日が判決言渡日から2週間を超えているときは、申立期間徒過を疑われないように「同裁判所が言い渡した判決」の後ろに「(令和○年○月△日受送達)」などの記載をする方が望ましいと思います。
必要的記載事項の「原判決の表示」は、上記の例文の「上記当事者間の○○裁判所令和○年(○)第○○号○○請求控訴事件について、令和○年○月○日、同裁判所が言い渡した判決」の部分で既に特定されていますが、実務上は、これに続けて「原判決の表示」と記載して控訴審判決の主文をそのまま引き写します。
※上告受理申立書を控訴審裁判所の民事受付に持参して提出する場合は、さらに控訴審判決の判決正本又はその写しを持っていくのが無難です。
上告受理申立の趣旨は、「1 本件上告を受理する。2 原判決を破棄し、さらに相当の裁判を求める。」というように書くのが通例です。
※東京高裁等の書式例等では「相当の」とされていますが、「相当な」という記載例もあり(1999年度書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版197ページでも「原判決を破棄し、更に相当な裁判を求める。」というような抽象的な記載がされる場合が多いと指摘されています)、日本語の語法としては「相当な」の方がしっくりくるように思えます。
上告受理申立の理由は、「追って上告受理申立て理由書を提出する。」とだけ書くのが通例です。何か理由らしきことを記載すると、上告受理申立て理由書の提出期間を待たずに終了されてしまうリスクがありますので、一切書かないのが賢明です。
以上の説明は、最高裁に上告受理申立てのみをするときに当てはまります。最高裁に上告提起とともに上告受理申立てをするとき(現実にはそうする場合が大半です)は、「上告状兼上告受理申立書の作成」のページを見てください。
上告については「まだ最高裁がある?(民事編)」でも説明しています。
モバイル新館の「最高裁への上告(民事裁判)」、
「高裁への上告(民事裁判)」でも説明しています。
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