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短くわかる民事裁判◆
上告受理申立て理由書の作成
 上告受理の申立てをした場合、上告受理申立書に上告受理申立ての理由を記載した場合を除き、上告受理申立て通知書の送達を受けた日の翌日から起算して50日以内に上告受理申立て理由書を原裁判所(高等裁判所)に提出しなければなりません(期限までに提出しなければ高裁が上告を却下します:民事訴訟法第318条第5項、第316条第1項第2号)。
 上告受理申立て理由書は、上告受理の申立てとともに上告をしている場合でも、上告理由書とは別に作成提出する必要があります(特にそれを明示した規定はありませんが、上告と上告受理申立ては別の手続であることから当然と考えられます。上告受理申立て通知書に同封されてくる「上告受理申立て理由書の提出について」という文書でもそのように指示されています)。

 事件番号は、上告受理申立て通知書に記載されている上告受理申立て事件(事件記録符号ネ受の番号)を記載します(上告受理申立て理由書は事件記録が上告裁判所=最高裁に送られる前に提出しますので、この時点では上告受理事件の事件番号はありません)。
 当事者の表記は、申立人と相手方です。
 文書の宛先は、最高裁判所です。通常は、最高裁判所御中と書きます。

 上告受理申立て理由は、民事訴訟法が定める上告受理申立て理由(民事訴訟法第318条第1項)を意識し、かつ民事訴訟規則で定める記載方式を守って記載する必要があります。
 上告受理申立て理由は、「原判決に」「法令の解釈に関する重要な事項を含む」ことですので、具体的に原判決の判示内容を特定して、それにどのような問題があり、その結果法令の解釈に関する重要な事項を含んでいることとなるのかを示さなければなりません。本人訴訟をしている人からの相談で本人が作成した上告受理申立て理由書案など見せられると、原判決の内容を具体的に書かないで自分の主張がいかに正しいかを延々と書いて、それを認めないのは法令解釈の誤りがあるなどとしていることがよくありますが、上告受理申立て理由は当事者の主張が正しいことではなくて、原判決に(法令の解釈に誤りがあるなどして)法令の解釈に関する重要な事項を含むことですので、これでは上告受理申立て理由の体をなしていません。
 また、気をつけておきたいこととして、上告受理の申立ては上告理由(民事訴訟法第312条第1項、第2項)に当たることを理由とすることはできない(民事訴訟法第318条第2項)ということがあります。したがって、上告受理申立て理由書に憲法違反とか、理由不備などの絶対的上告理由しか書いていない場合、上告受理申立て理由書に上告受理申立て理由を記載していないと判断されかねません。
※記載した上告受理申立て理由をいずれもを「判断が示されていない」、「判決に理由を付せず又は理由に食い違いがある」、「理由が食い違っている」ととりまとめた上告受理申立て理由書について上告受理申立て理由が記載されているとは認められない、「本理由書には民事訴訟法第312条2項6号を理由とする旨記載されているが上告受理の申立てにおいては同項に規定する事由を理由とすることはできない(同法318条2項)として上告受理申立てを却下した広島高裁2022年11月14日決定に対する許可抗告に対し、最高裁2024年2月21日第二小法廷決定は「所論の点に関する原審の判断は、是認することができるとして抗告を棄却しています(判例時報2369号11ページ【5】)。この解説で最高裁調査官は「本件理由書は民法709条の解釈等に関する法令違反を主張するものと善解する余地もないではないが、このように善解をせずに上告受理申立てを却下した措置が違法であるとまではいい難い。そうすると、本件理由書には民訴法312条2項6号の上告理由の記載があるにすぎず、上告受理申立ての理由の記載がないことに帰する」(同上)と書いています。要するに、同じことを書いていても、○○の法令違反があり本上告理由書には法令解釈上重要な事項を含むととりまとめておけば、上告受理申立て理由を記載していることになり、却下はされなかったのにということです。
 理由書提出期限内に提出された上告理由書に上告理由(民事訴訟法第312条第1項、第2項各号の理由)がまったく記載されていないときは、(提出期限後には)その不備を補正する余地はないから原裁判所は補正命令を発するべきではなく、直ちに決定で上告を却下すべき(原裁判所が誤って理由書提出期限後に補正命令を発し、補正命令で示された期限内に上告理由を記載した書面が提出されてもそれにより上告が適法になるものではない)とされています(最高裁2000年7月14日第二小法廷決定)。この判決は上告理由書について判示したものですが、上告受理申立て理由書についても、同様の扱いになるはずです。

 上告受理申立て理由の記載方式については、「上告受理申立て理由の記載方式」で説明しています。
 上告受理申立て理由書に上告受理申立て理由が一応記載されているが、記載されている上告受理申立て理由がすべて記載方式に反していると判断された場合は、原裁判所(高等裁判所)が補正命令を発し(民事訴訟規則第199条第2項、第196条第1項)、それでも補正されない(記載方式を守った記載に修正されない)場合に、原裁判所が上告受理申立て却下決定をすることになります(民事訴訟法第318条第5項、第316条第1項第2号、民事訴訟規則第199条第2項、第196条第2項)。

 理由書のページ数が多いときに実務上作成提出が要請されている理由要旨と目次については「理由要旨と目次」で説明しています。

 上告については「まだ最高裁がある?(民事編)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「最高裁への上告(民事裁判)」もばいる「高裁への上告(民事裁判)」でも説明しています。

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