庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
上告状等の提出先を間違えたとき
  上告、上告受理申立ては、上告裁判所宛の上告状、上告受理申立書を、判決書(調書判決の場合は判決書に代わる調書)の送達を受けた日から2週間の上告期間・上告受理申立期間内に、原裁判所の民事受付に提出して行います(民事訴訟法第314条第1項、第318条第5項)。
 原裁判所は原判決をした裁判所ですから、高裁の支部が控訴審判決をした場合は、その支部が上告状等の提出先となります。


 高裁の支部の控訴審判決に対する上告状、上告受理申立書を高裁の本庁に提出したり、高裁の本庁の判決に対する上告状等を高裁の支部に提出したり、上告状を間違って上告裁判所(控訴審判決が高裁の場合に最高裁、控訴審判決が地裁の場合に高裁)に提出した場合、裁判所はどのように扱うでしょうか。
 上告状等を民事受付に持参して提出した場合は、窓口で正しい提出先を指示し、原裁判所に提出するということになるのがふつうです。
 窓口で正しい提出先に提出し直すよう指示してもこれに応じない場合や、郵送での提出の場合、裁判所は、標準的には、受付窓口では事件簿に記載するなどの立件(受付)の手続をして事務分配に従って担当部を決めて事件を配点し、受付窓口または配点を受けた担当部から原裁判所の担当部署に上告状等の提出があった旨の通知をし、あとは原裁判所の担当部の裁判官の判断とされるようです(1999年度裁判所書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版221ページ、270ページ)。考え方としては、原裁判所に移送する、立件を取り消して原裁判所に回送する、上告を却下する等の考え方があるとされます(1999年度裁判所書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版270ページ)。上告状を上告裁判所に提出した場合は、不適法な上告であり、かつ補正することができないものであるから却下すべきであるという裁判例もあり(東京高裁1967年6月19日決定)、担当する裁判所の裁判官の考えによっては予断を許しません。

 上告については「まだ最高裁がある?(民事編)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「最高裁への上告(民事裁判)」もばいる「高裁への上告(民事裁判)」でも説明しています。

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話