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短くわかる民事裁判◆
上告状の必要的記載事項
 上告状に記載しなければならないと民事訴訟法が定めている事項は、当事者及び法定代理人原判決の表示、その判決に対し上告する旨です(民事訴訟法第313条、第286条第2項)。

 訴状(1審)には、当事者及び法定代理人と請求の趣旨及び原因を記載することが求められています(民事訴訟法第134条第2項。2023年2月20日以前は第133条だったのですが…)。上告で請求の趣旨及び原因に対応するのは上告の趣旨上告理由になるはずですが、その記載は求められていません。また、上告提起手数料と上告審の審理及び判決の範囲の基準となる「不服の限度」の記載も求められていません。
 上告状の場合、控訴状とは異なり、上告の趣旨は具体的には記載しないで、「原判決を破棄し、さらに相当の裁判を求める。」とか、「原判決を破棄し、さらに相当な裁判を求める。」などと記載するのが通例です。不服の限度(範囲)も、全部敗訴なら「全部」、一部敗訴なら「上告人敗訴部分」と書くのがふつうですが、そこもそれほど気にされていないように思えます。上告理由は、なまじ記載すると50日間の上告理由書提出期限を待ってくれないリスクがありますので、記載しないのがふつうです。
 上告状は、控訴状に比べてもさらに定型化したパターンで、あまり検討も工夫もしないでとにかく期限内に提出することを最優先して提出しているのが、ふつうの実務です。

 なお、控訴状とは異なり、上告状の審査、補正命令、上告状却下命令は原裁判所の裁判長の権限(民事訴訟法第314条第2項、第288条)ですから、上告状に必要的記載事項の記載がない場合、記載が不適切な場合、上告提起手数料が納付されていない(不足している)場合、上告状の送達費用が納付されていない(不足している場合)には、(補正命令が出てそれに従わないと)原裁判所の裁判長が上告状却下命令を出して、上告審に記録が送られないままで上告審が終了するということになりかねません。

 以上の説明は、最高裁への上告の場合も、高裁への上告の場合も、同じです。

 上告については「まだ最高裁がある?(民事編)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「最高裁への上告(民事裁判)」もばいる「高裁への上告(民事裁判)」でも説明しています。

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