◆ハリー・ポッターの謎◆
では、なぜ屋敷しもべ妖精を利用しないの?
【注】このページは、2005.5.14に作成され、the Deathly Hallows (原書7巻)により謎が解消された(納得いかないところは残りますが)ために、2007.7.28に削除され、リンクが外されたページです。→Q5に戻る
Q5の「ホグワーツでは姿くらましはできないか?」=ドビーはなぜホグワーツで姿くらましができたのかについて、ローリングの回答を見つけた。
ローリングの公式サイトが2005年にリニューアルされて大幅に充実したそうだ。日本語版もある!
ローリングの公式サイトはhttp://www.jkrowling.com/ (ここで言語が選べる)
ローリングの公式サイトのFAQにこの答が書かれていた。ローリングによれば、ドビーがホグワーツで姿くらましができる理由は次の通り。
「屋敷しもべ妖精は魔法使いとは違います。独自の魔法を使っていて、屋敷の中で現れたり消えたりするのは、屋敷しもべ妖精が昔からしてきたこと、つまり人目につかずに仕事をするのに必要な能力なのです。」(House-elves are different from wizards; they have their own brand of magic, and the ability to appear and disappear within the castle is necessary to them if they are to go about their work unseen, as house-elves traditionally do.)
つまり、魔法使いはホグワーツで姿現わしも姿くらましもできないが、屋敷しもべ妖精はホグワーツで姿現わしも姿くらましもできるという。(日本語版は「屋敷の中で」と書いているが英語版はthe castleでホグワーツを指している)
なんか、こうあっさりいわれると拍子抜けするけど、まずは確認。
ホグワーツで姿現わしも姿くらましできないのは・・・日本語版は主語がない。原文を見てみよう。以下引用はもちろん、UK版(BLOOMSBURY社)。
アズカバンの囚人。この点についてのハーマイオニーの最初の発言は You can't just Apparate in here.(123頁)。スネイプの絶叫は YOU CAN'T APPARATE OR DISAPPARATE INSIDE THIS CASTLE !(306頁)。
炎のゴブレット。いずれもハーマイオニーの台詞。 You can't Apparate inside the Hogwarts grounds, how often do I have to tell you?(213頁)、You can't Disapparate in the Hogwarts grounds,haven't I told you enough times?(490頁)、You can't Disapparate in the grounds, Ron !(495頁)
不死鳥の騎士団。ハーマイオニーの台詞。 One day, you'll read Hogwarts: A History, and perhaps it will remind you that you can't Apparate or Disapparate inside Hogwarts. Even Voldemort couldn't just make you fly out of your dormitory, Harry.(442頁)。アンブリッジの台詞。 Well, he can't have Disapparated ! You can't do it from inside this school - (549頁)。
Half−Blood Prince。ハリーのダンブルドアへの確認。 - you can't Apparate anywhere inside the buildings or grounds. (62頁)。もっとも、その前のダンブルドアの台詞では、 most wizarding dwellings are magically protected from unwanted Apparators . At Hogwarts , for instance-(62頁)とされていて、望ましい訪問者は姿現しできるのかもと思わせるけど・・・
うーん。原作では、すべて主語は you 。人間界でこういう使用法をするときは「人は」の意味だそうだけど、魔法界では、魔法族以外は「ヒト」ではない(屋敷しもべ妖精は「ヒト」と扱われない)ようだから、あくまでも魔法使いに限っての話ということも、理論上は可能。ローリングはそういうつもりで you を使用しているのだろうか。
(もっとも、the Half-Blood Prince では、it is usually impossible to Apparate or Disapparate within Hogwarts.( the Half-Blood Prince 359頁)と、you が主語でない表現も登場していて、これだと主体は無限定に思えるのだけど。)
そうすると、ドビーに限らず屋敷しもべ妖精はホグワーツで姿現わしも姿くらましも自由にできることになる。
そして、実際、「謎のプリンス」では、ドビーもクリーチャーも、ホグワーツで姿現わし・姿くらましをしている(謎のプリンス下147頁、197頁、202頁、UK版392頁、422頁、425頁)。そして、そのことを知ったハリーから、マルフォイを密かに尾行するように命じられている。しかも、ここでクリーチャーは、ハリーがホグワーツの医務室で「クリーチャー」と呼んだだけで直ちに姿現わししている(謎のプリンス下147頁、UK版392頁)。そうすると、屋敷しもべ妖精は、ホグワーツで姿現わしできるだけじゃなくて、ホグワーツの中で盗み聞きもできるということになる。
ということは、「賢者の石」では、ヴォルデモートは、クィレルにとりついたままでいるのではなく、誰か死喰い人のところに行って屋敷しもべ妖精にとりつけば、ホグワーツの賢者の石を置いた部屋に姿現わしして簡単に賢者の石を手に入れられたことになる。ヴォルデモートが突破できない「みぞの鏡」をダンブルドアが賢者の石を守るのに使うのはクリスマス以降だから、それ以前なら楽勝。(この点は、「謎のプリンス」で、スネイプの説明として「昔の味方が、あの方をダンブルドアか魔法省に引き渡すかも知れないとのご懸念から、あの方はどうしても、かつての味方の前に姿を現そうとはなさらなかった。」と説明されているけどね:謎のプリンス上44頁)
「アズカバンの囚人」では、シリウス・ブラックは、ピーター・ペティグリューを捕まえるのに自ら危険を冒してホグワーツに侵入しなくても、自宅に戻って屋敷しもべ妖精のクリーチャーに命じてグリフィンドールの寝室に姿現わしさせてロンが寝ているうちにスキャバーズ=ペティグリューを捕まえてポケットに入れて姿くらましで戻って来させれば、容易に目的を達成できたはず。
「炎のゴブレット」では、ヴォルデモートは、ハリーをポートキーでホグワーツから自分の前に連れ出すだけなら、大事なクラウチ息子を危険を冒してムーディーに化けさせてホグワーツに長期間派遣しなくても、誰か死喰い人のところの屋敷しもべ妖精にハリーの触りそうなもの(羽ペンとか羊皮紙とか)をポートキーにして持たせてグリフィンドールの寝室に姿現わしさせてハリーの持ち物とすり替えさせておけば、簡単に目的を達成できたはず(この時点では、クラウチ息子と接触しているように、「昔の味方」の前に姿を現している)。
どうしてそうしなかったのだろう。
注:ローリングの公式サイトの引用について
シリーズが完結した後、ローリングの公式サイトをチェックしていませんでしたが、いつのまにかローリングの公式サイトが全面リニューアルされて、ハリー・ポッターに関する詳細情報が抹消されていました。その当時の公式サイトの説明(これもさらにリニューアルされた現在の公式サイトでは、もう見当たりません)によれば、ハリー・ポッターに関する詳細な資料は「potter more」に移されたということですから、引用した内容は、たぶん「potter more」のどこかにあると思います。しかし、「potter more」はメンバー登録してユーザーネームとパスワードを入れてサイン・インしないとみることができないサイトですので、たぶん該当箇所を見つけてリンクを張っても無意味ではないかと思われること、私自身一応登録してみてみましたが、日本語ページはなく、しかも第1巻第1章から順を追ってみていかないと先を見ることができないシステムで、該当箇所を見つけるのにものすごい労力を要することから、かつてリンクしていた記載を特定することができていません(potter more もまた2015年9月にリニューアルされたそうですし、さらに映画「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の公開に合わせてそれに関する部分だけは日本語ページもできた模様ですが、その内容まではフォローできていません)。そのため、引用か所についてリンクをしていませんが、以上のような理由ですのでご了承願います。
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