庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

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青いイルカの島  タコイメージ
 (原題:Island of the Blue Dolphins)
ここがポイント
 ロビンソン・クルーソーの少女版
 試練を淡々と乗り切っていくカラーナの姿に勇気づけられる

 お薦め度:星イメージ星イメージわりとお薦め/ 

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スコット・オデル作
1960年
 ひとことでいえば、ロビンソン・クルーソーの少女版。この物語では、漂流して流れ着いたのではなくて、島民がそろって島を捨てるときに取り残されたという違いはありますが。
 1835年、ロサンジェルス沖のサンニコラス島にそれまで住んでいたアメリカ先住民が船で移住しました。そのときに取り残された少女が、1853年に発見され救出されたという実話を題材にしたものだそうです。
 主人公は12歳の少女カラーナ。サンニコラス島のガラサット部落の酋長の娘。ラッコ狩りに度々やってくるアリュート人(ロシア人)に酋長を始め多くの者が殺され、生き残った人たちはアリュート人ではない白人(要するにアメリカ人)の船に乗せてもらって移住することになりました。6歳の弟が島に残っているのに気づいたカラーナは船から海に飛び込んで島に戻り、弟と2人、島に取り残されます。弟はそのあとすぐ野犬に襲われて死に、カラーナは1人で島で生きていくことになります。
 そういう形で強いられた自立ですが、カヌーでの旅立ち(穴があいていて失敗)、家造り、武器作りとゾウアザラシ襲撃、野犬の群れとの闘い、大蛸との闘い、さらには津波に地震と次々とカラーナに試練が襲いかかります。これを淡々と乗り切っていくカラーナの姿には元気づけられます。
 カラーナの部族では、女は武器を作ってはいけないという掟がありました。カラーナは、掟に背けば何が起こるだろうかと思い悩みます。地震や洪水が来るのだろうか、いつか父がいっていたように私の命が危なくなったとき武器は私が手に持つとみんな壊れてしまうのだろうか。しかし、野犬の恐怖から、カラーナは自分の身にどんな災いが降りかかっても自分で武器を作ろうと決心します。ゾウアザラシに矢を放ったとき、カラーナは、父の「女の持っている弓は、その人が一番危なくなったときに折れる」という言葉を思い出しますが、弓は折れませんでした。こうして必要と経験で、カラーナは掟の縛りを乗り越えていきます。
 私には、このあたりが、一番読みどころに思えました。
 カラーナが1人になる前にも、部落の男たちの多くがアリュート人に殺された後、女たちが一生懸命働いたので男たちが狩りをしていた頃よりかえっていろいろな食べものがとれたとか、それを見て男たちが嫉妬したとかいうあたりもなかなか・・・
 ロシア人は悪者、アメリカ人は味方という図式(冷戦時代に書かれたものだしなあ・・・)、カラーナが最後に島を去るときのあっさりさ加減(実話の拘束か・・・)、島に1人しかいないのにおしゃれに気を遣いすぎとかいうあたりに、少し疑問を感じますが、そのあたりを乗り越えられれば、楽しく読めると思います。

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