たぶん週1エッセイ◆
映画「ザ・スピリット」
ここがポイント
 悪役があまりにもちんけなためにコメディに見えるが、ダンディに描こうとしているのが中途半端
 ヴィジュアルは不自然ながら妙に格好よくて惹かれるのだが…

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 殺された刑事が不死身となって生き返り仮面をつけて犯罪者たちと戦うアメコミの映画化「ザ・スピリット」を見てきました。
 封切り2日目日曜日の午後の回、新宿ミラノ2でも半分くらいは埋まっていましたが、途中で席を立って帰る人が目につきました。

 セントラルシティを守る不死身の仮面の刑事「スピリット」(ガブリエル・マクト)の正体は、殺された警察官デニー・コルト。デニーは、遺伝子操作で不死身の人物を作ろうとして実験台を求めていたオクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)の手で不死身の身となり、致命傷を負っても毎回外科医エレン・ドーラン(サラ・ポールソン)の治療でたちまちのうちに回復しますが、デニーはその秘密を知りません。スピリットが犯罪組織の黒幕オクトパスと死闘を繰り広げる中で、かつてのデニーの恋人で今は宝石泥棒となったサンド・サレフ(エヴァ・メンデス)が事件に絡み・・・というお話です。
 登場する女性が、スピリットの魅力に抗えず、次から次へとスピリットの虜になっていく様は、あまりに不自然で、興ざめです。デニーの婚約者だったエレンがなぜかスピリットに惹かれるとか、元恋人だったサンドがスピリットに惹かれるというのは、ストーリーとしていいですが、オクトパスの手下の暗殺者ブラスター・オブ・パリス(パス・ベガ)がスピリットの足首を切断する間際でオクトパスや手下たちの面前でスピリットから名前を呼ばれて口説かれてその場で裏切ってオクトパスを攻撃するってもうめちゃくちゃ。
 悪役のオクトパスが、あまりにちんけな役回りで、手下のクローンたち(ルイス・ロンバルディ)のオバカぶりも目につきます。そのためにアクションもののはずが、どう見てもコメディに見えます。といってスピリットはあくまでもダンディに描こうとし続けますので、アクションものとしてもコメディとしてもどうにも中途半端な感じです。

 ヴィジュアルは、彩度・輝度を落としてモノクロっぽくした画面にスピリットの赤いマフラーをベタで書き込んだ映像が印象的で、不自然な画像ですが、妙に格好いい。それで最初の方はずっと惹き込まれるのですが・・・

 オクトパスの手下の美女シルケン・フロス(スカーレット・ヨハンソン)とクローンたちが逃げ切りますし、スピリットの不死身の秘密は結局説明されないままですから、続編が予定されているのでしょうけど、これではねぇ。

 ザ・スピリットの続編はさておき「ヤッターマン」の続編を作るときには、ドロンジョ役はスカーレット・ヨハンソンにお願いしたいと思ったのは私だけではないと思いますけど。

(2009.6.7記)

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