庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ペット(吹き替え版)」
ここがポイント
 前半の飼い主が留守中のペットたちの豹変は楽しくほほえましい
 後半の冒険ものの作りが中途半端。「ズートピア」や「ファインディング・ドリー」を見た後では既視感がある

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 飼い主の留守中のペットたちの様子を描いたアニメ映画「ペット」を吹き替え版で見てきました。
 封切4日目日曜日、新宿ピカデリースクリーン2(301席)午前10時40分の上映は8割くらいの入り。

 捨てられていた子犬のマックスは、犬好きの少女ケイティに拾われ幸せな日々を送っていた。ケイティが出かけるのが寂しくて、マックスはケイティを出かけさせないよう懸命の芸をするのだが、ケイティを引き留めることはできず、マックスにはそれが一番の不満だった。マックスは、ケイティの留守中も、近所の他のペットたちとは異なり、飼い主の留守をいいことに乱行に及ぶことはなく、おとなしくケイティの帰りを待っていたが、ある日ケイティが保健所から大型犬のデュークを拾ってきたことから、ケイティの留守中にマックスとデュークは対立し、外へ出て保健所の職員に捕獲されてしまい…というお話。

 前半は、予告編や各種サイトでの紹介のとおり、マックスの近所に住むペットたちが、飼い主が出かけるや飼い主の前とは違う顔を見せて乱行に及ぶその姿のギャップが見せ場になっています。猫のクロエの冷蔵庫のごちそうを見て迷う姿や、ミキサーでマッサージを受けるダックスフントのバディ、テレビと扇風機でフライトシミュレーションを楽しむセキセイインコのスイートピー、そしてクラシック好きの飼い主がいなくなるやロックをガンガンかけるプードルのレナードのギャップがかわいい(しかし、公式サイトの情報のなさは、特筆ものです。予告編ビデオと劇場情報だけといってよいほどで、アニメなのにキャラクター紹介さえありません)。
 後半では、マックスとデュークの失踪と捨てられたペットたちを率いて「革命」を目指すウサギのスノーボールらの追跡、マックスの身を案じた向かいに住むポメラニアンのギジェットらのマックス探しの冒険アクションになります。マックスとデュークの友情、ギジェットのけなげで一途なマックスへの思いがテーマになり、そこが見どころに思えます。しかし、後半の展開は、たぶんこの作品の観客層の多くは今年すでに「ズートピア」と「ファインディング・ドリー」を見ていると思うのですが、似たような展開ですし、冒険ものとしてはそっちの方がきちんと作っている感じで、ちょっと今さら感があります。主役となるマックスとデュークのキャラクターも、なんだか「モンスターズ・インク」のマイクとサリーの設定に近くて、やはりどこか既視感があります(デュークの唸り声、小さい子が怖がって泣いてました)。マックスがデュークとの間で示すせこさ、ずるさもあり、ギジェットの一途さがどこか、もったいない感じもしてしまいます。
 さすがに前半のギャップだけで最後まで作るのには無理があるのでしょうけど、後半の冒険もの的な展開が中途半端で、何かもう少し工夫がほしかったなと思います。

 エンドロールの吹き替え版のキャスト紹介で、「ソーセージ界のドン 宮野真守」と大書されているのですが、「ドン」というほど大きなソーセージいなかったように思いますし、そんな声じゃなかったような…
(2016.8.14記)

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