たぶん週1エッセイ◆
映画「ボス その男シヴァージ」
 タミル(南インド)の大スターラジニカーントの2012年春日本公開の「ロボット」の前作「ボス その男シヴァージ」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、全国3館、東京で2館の上映館の1つヒューマントラストシネマ渋谷シアター2(183席)午前10時15分の上映は2割くらいの入り。

 アメリカで成功してインドに凱旋した実業家シヴァージ(ラジニカーント)は、タミル地方の都市チェンナイで大学と病院を開設していずれも無償で民衆にサービスすると宣言し、準備を始めた。役人はことごとく文句をつけ、賄賂を要求し、最初は賄賂を拒否していたシヴァージも仕方なく各所に賄賂を配り、ようやく建設が許可された。チェンナイで独占的に大学と病院を運営し多額の収入を得ている実業家アーディセーシャン(スマン)は、州の首相に働きかけて決定を覆させるが、州首相が要求した多額の賄賂をシヴァージが支払って再度許可を得ると、裏で手を回して州首相を落選させて新たな州首相を就任させた。シヴァージは裁判闘争を仕掛けるが、賄賂を渡したことを認めざるを得ず、裁判所は建設の凍結を命じ、シヴァージは全財産を失うことになった。全財産を失ったシヴァージは逆襲を開始、アーディセーシャンら資産家たちの裏マネーを策略を用いて奪い、その金で大学と病院を完成させてサービスを始める。アーディセーシャンはシヴァージに逆襲すべくシヴァージの弱みを探すが・・・というお話。

 インド社会にはびこる賄賂要求と地下経済、資産家たちの悪辣ぶりを告発する社会派的なテーマと、伝統的なタミル女性タミルセルヴィー(シュリヤー・サラン)に一目惚れしたシヴァージのラブ・ストーリーを、インド映画らしいど派手な衣装での歌と踊りを織り交ぜながら描いています。
 ラブ・ストーリー部分は、金にものを言わせて強引に言い寄るシヴァージと、迷信深く肌の色が黒いのが嫌だなどの無理な要求をしシヴァージが財産を失うと結婚しないと言い出すタミルセルヴィーは、どうもどっちもどっちという感じで、まぁ好きにしてよという気持ちになります。シヴァージの事業の部分とタミルセルヴィーへの求婚部分の連携が今ひとつで、流れにブツブツ感があります。
 タミルセルヴィーは、占い師のいうことに左右された挙げ句に役人の言に惑わされてシヴァージを売ることになるという、いかにも愚かな女という役回りで、インドのなのか、制作者のなのかはわかりませんが女性観(女性蔑視の目線)を表しているように見えます。
 派手な歌と踊りは、前半に集中していて(前半の草原での腹踊りが見どころといえるかも)、エンディングは意外に静かで残念な気がします。

 この映画は2007年の映画で、「ロボット」以前のタミル語映画の動員記録を持っていたそうです。2010年の「ロボット」が2012年春に日本で公開されたので、その勢いでその前の作品も公開となったのでしょうけど、この流れで3時間05分はつらく思えます。果たして日本でどれくらいの興行成績を上げられるでしょうか。

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