たぶん週1エッセイ◆
映画「シューテム・アップ」
ここがポイント
 走り、転がり、滑り、途中で敵の銃を拾いと、忙しく銃を撃ちながらの大立ち回りが見せ場
 ガンアクションだけの映画かと思うと、意外としゃべりが作り込んである

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 なぜか命を狙われる生まれたばかりの赤ん坊を通りがかりに助けた元射撃の名人のホームレスが群がる敵を撃ちまくるガンアクション「シューテム・アップ」(Shoot’em up)を見てきました。

 ホームレスのスミス(クライヴ・オーウェン)が殺し屋に追われる妊婦を助けてその場で出産させたが、妊婦は流れ弾に当たって死亡、生まれた赤ん坊を連れて逃げたスミスを殺し屋たちが執念深く追い続けて赤ん坊を殺そうとするため、赤ん坊を捨てられなくなったスミスがなじみの娼婦ドンナ(モニカ・ベルッチ)に赤ん坊の世話をさせながら、追ってくる多数の殺し屋を撃ちまくるというお話。スミスが敵の正体を探るうちに、銃規制をめぐる陰謀が明らかになり・・・という展開を見せます。

 設定も展開も荒唐無稽というか、むちゃくちゃ・ハチャメチャ。「ありえないっ!」とつぶやきながらこのハチャメチャぶりを楽しめるかどうかが、第1の分かれ目。
 それと、私のような、人の命を軽くし過ぎのバイオレンスものが嫌いな人には、どうも心苦しい。1人の赤ん坊を救うために100人は撃ち殺されるというのは・・・(スミスは、人間はイヤになるほど撃ち殺しながら、犬は撃ちたくないって・・・)。でも、ここまで荒唐無稽になると、現実感ゼロですから、なまじっか現実味のあるハードボイルドより割り切って見やすいとは言えます。
 というハードルを乗り越えて、頭を空っぽにして見られれば、B級アクションものとしては、かなり面白い。

 多数を相手にスミス1人で、しかも片手に赤ん坊を抱えたまま撃ちまくる。ドンナとセックスしている最中を襲われセックスしながら6人の男たちを次々と撃ち殺す。走り、転がり、滑り、途中で敵の銃を拾いと、忙しく銃を撃ちながらの大立ち回りが、ほとんど漫画のようですが、見せ場です。
 カーチェイスしながらの銃撃戦では、シートベルトを外して相手の車に正面衝突させて運転者スミスが自らフロントガラスを頭で突き破って相手の車の後部に転がり込んで、銃を乱射するという、警視庁幹部が見たら泡を吹く(真っ赤になって怒る・苦虫をかみつぶす)ようなシーンもあります。さらに飛行機からダイビングして、追ってくる敵との空中での銃撃戦も。
 ガンアクションをいかに光らせるかを第1に考えて作っている作品でしょうから、見る方もそこだけ楽しめばいいかとも思います。

 ただ、ガンアクションだけの映画かと思っていたんですが、意外としゃべりが作り込んであります。下品なんですが、下品なりのウィットがあるやりとりがけっこうあります。私は目が悪いので字幕に付いていけないところがいくつもあり、ちょっと残念な思いをしました。英語のヒアリングでついて行ければ、もっと楽しめるだろうなと思いました。

 敵の元FBIプロファイラーのハーツ(ポール・ジアマッティ)が、なかなか濃い味/クセがあっていい。スミスの渋いかっこよさ、ドンナの艶っぽさと、この3人の味でもけっこう見せている感じ。

 ほとんどの場面が、「ありえない」ってシーンばかりですから、突っ込んでも仕方ないんですが、でも、それで銃を撃てたり凶器になるほど固いにんじんって・・・

(2008.6.7記)

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