たぶん週1エッセイ◆
映画「P.S.アイラヴユー」
ここがポイント
 死んだ夫の生き残る妻への愛と妻の夫への愛なんですが、自分に引きつけて考えたくない
 親友のデニーズの結婚相手探しがコミカルでシニカル

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 若くして夫が死亡した夫婦の愛を描いた恋愛映画「P.S.アイラヴユー」を見てきました。

 ささいなことで口論しながらも仲直りしてきた35歳の夫ジェリー(ジェラルド・バトラー)を脳腫瘍で失い、失意に暮れるホリー(ヒラリー・スワンク)の元に、30歳の誕生日を祝いに訪れた母(キャシー・ベイツ)や親友たちの前で亡き夫からの手紙が届き、その後日を追って夫から手紙が届き続け、ホリーはその手紙の指示に従って、外に遊びに行き、亡き夫の遺品を処分し、亡き夫の故郷を訪ね、新たな仕事を見つけて行くというお話。
 ホリーには、近所でパブを経営する母も親友もいるのに、3週間もたってなお仕事にも行かないというところからして、かなり変。夫を失った悲しみに暮れるのはわかるけど、日々生活しなきゃならないのはそれとは別。むしろルーティーンワークに追われることで気を紛らわせていけるのだし、そうしないと生活できないのですから、とりあえず仕事には行くでしょ。仕事中にボーッとしてることがあったとしても。しかも、この母親がけっこうしっかり者だし。母親は、夫が女を作って出て行って、ホリーからジェリーは自分の意思でこうなったんじゃないと言われて、夫の意思で捨てられた方が気が楽だとでも言いたいわけと言い返しますが、普通の流れなら、ここでしまったと思って母も頑張ってきたんだからと立ち直ろうとすると思うんですが。
 結局、ホリーは1年たっても、生活は立て直すものの、新たな恋愛には踏み切れず、ホリーに新たな恋愛を勧めるジェリーの愛と、ジェリーを思うホリーの愛という感じの結びです。その路線で終わるつもりなら、アイルランドでパブで歌うミュージシャンとHしちゃうのはどう見ればいいんでしょう?現実はシンプルには行かないよというところでしょうか。

 それにしても、ジェリーは、自分がホリーの30歳の誕生日前に死ぬとわかっていたんでしょうか。そして、新たな恋愛に踏み切るのを怖がってはいけないなんて手紙を出すのは、妻への麗しい愛でしょうけど、その手紙の配達指定が1年後っていうのは、それまで妻が新しい男と恋愛していないって自信があったんでしょうか。いろいろな意味で、自分に引きつけて考えたくない映画です。

 ホリーの親友のデニーズ(リサ・クドロー)が、とてもドライにパーティー等で結婚相手探しを続けるのがコミカルでシニカルです。男を見る度、「独身?」「ゲイ?」「仕事は?」と質問し、「ゲイ」とか「無職」と言ったらその瞬間には背中を向けて立ち去り、すべてOKならキスして、へたなら立ち去るといった具合。実践的ではありますが、そこまで露骨にやらなくても・・・

(2008.12.7記)

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