たぶん週1エッセイ◆
映画「ジャックと天空の巨人」
ここがポイント
 昔話の特徴ともいえる繰り返しパターンとジャックとイザベラが童話を聞くシーンの並行が巧み
 冒険をしたいという王女に対して、どんどん冒険するといいと勧める王妃の姿勢は爽快感がある

Tweet 

 童話「ジャックと豆の木」を映画化した「ジャックと天空の巨人」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、新宿ミラノ3(209席)午前11時の上映は2〜3割の入り。

 かつて巨大な豆の木のツルを伝って天空の国ガンチュアから巨人たちが襲撃してきて、エリック王が巨人の心臓で王冠を作ると巨人たちは王冠にひれ伏したので王が巨人たちに天空に帰ることを命じて豆の木を切り倒し平和が訪れたという伝説が残る中世の国クロイスター。両親を亡くし伯父に引き取られて育ったジャック(ニコラス・ホルト)は、伯父に言われて馬を売りに城壁内に行った日、エリック王の伝説を演じる芝居小屋でお忍びで観劇中に酔っ払いに絡まれた王女イザベル(エレノア・トムリンソン)を助け、その後宮殿から逃げてきた修道士から緊急なので馬を高く買うと声をかけられた上で金は今は持っていない修道院で払うとしてこの豆を修道院に持って行って欲しい、絶対に水に濡らさないようにと言われる。豆を持ち帰ったジャックに伯父は怒り、代わりにジャックの父の遺品を売りに出かけてしまう。その夜嵐の中を宮殿から抜け出したイザベルがジャックの小屋にたどり着き話をするうち、ジャックの伯父が怒って落とした一粒の豆が床下で雨に濡れて急激に成長して小屋ごとイザベルを天空まで持ち上げてしまう。途中で落下したジャックから事情を聞いた王(イアン・マクシェーン)は騎士団の長エルモント(ユアン・マクレガー)に精鋭部隊を派遣してイザベルを救出するよう命じ、ジャックも志願するが…というお話。

 幼い頃に父親からエリック王の伝説の童話を読み聞かされて育ち冒険に思いを馳せるジャックと、同様に幼い頃母親からエリック王の伝説の童話を聞かされて冒険をしたいと思って育ったイザベラの対比と邂逅が物語の前半を形作っています。昔話の特徴ともいえる繰り返しパターンとジャックとイザベラが童話を聞くシーンの並行がマッチして設定の刷り込みとリズム感を効かせています。冒険をしたいという王女に対して、どんどん冒険するといいと勧める王妃の姿勢は爽快感があります。
 ジャックとイザベラのほかに、イザベラと父王、ジャックとエルモントの人間関係とその変化が、派手なCG、アクションとは別に見せどころになっていると思いました。

 ストーリーとしては、エリック王の伝説の王冠と水に触れたら一気に天上まで伸びる豆がキーポイントになりますが、問題の豆はいつどうやってできるのか、あれだけ伸びれば当然新たな豆ができているはずじゃないか、天空から落下して死んだ巨人を見てエリック王の伝説が真実だと悟った王はそれならどうしてその時点でその心臓で王冠を作ろうとしなかったのかなど、いろいろ疑問が残ります。豆は果たして下向きに伸びるかという疑問も…
(2013.3.31記)

**_**区切り線**_**

 たぶん週1エッセイに戻るたぶん週1エッセイへ

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ