たぶん週1エッセイ◆
映画「ホタルノヒカリ」
ここがポイント
 ドラマの人物設定と人間関係を活かして、ストーリー展開は新たな登場人物まわりで図るという、ネタに困ったシリーズものの定番の展開というところ。蛍とぶちょおの姿を見るだけでうれしいドラマファンにはいいでしょうけど、ドラマを見ていない観客(私はテレビほとんど見ませんので、これも見てません)には、ちょっとしんどい

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 恋愛するより家で寝ていたい干物女とぶちょおの恋を描いたTVドラマを映画化した「ホタルノヒカリ」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午前9時20分の上映は1割くらいの入り。公開最初の週末興行成績微妙に1位(動員数。興収は3D公開のためもありMIB3が1位って)も、雨の土曜日午前9時台に見に行く物好きは・・・。

 高野部長(藤木直人)と結婚した後も家ではジャージ姿で縁側でごろごろし続け会社では仕事に追われる蛍(綾瀬はるか)は、ぶちょおにいわれてしぶしぶローマへの新婚旅行を約束したが、果たせないままに半年が過ぎていった。準備をすると言ったままほったらかしの蛍のスーツケースにネコが住み着くようになって、諦めたぶちょおは見本市の視察のために単身ローマに行くと宣言。さすがに慌てた蛍は一緒にローマに付いていくが、イタリア語もしゃべれず、ホテルの部屋も1つしかなく自由におならもできないと、日本に帰りたいを連発する。ぶちょおが見本市に出かけているうちに、ホテルの部屋に来たイタリア版干物女冴木莉央(松雪泰子)が、ぶちょおのトランクから覚醒剤を見つけたといい、蛍は大慌て。トランクは、莉央を訪ねてきた弟(手越祐也)のトランクと空港で取り違えたことがわかるが、弟の手前見栄を張り、ぶちょおが自分の婚約者と紹介する莉央に驚きつつ莉央の身の上を聞いているうちに、ぶちょおは厳つい男に連れ去られてしまう。携帯電話に出た莉央からマフィアが絡む誘拐だと知らされて一睡もできない蛍。女装してダンスを踊らされ男に迫られるぶちょお。ぶちょおと蛍の運命やいかに・・・というお話。

 高級ホテルに長逗留しつつジャージにちょんまげ姿で辺りを徘徊するイタリア版干物女莉央の夫と子どもを失って自暴自棄になりいじけた様と、たしなめる弟、莉央に翻弄されるぶちょおと蛍という構図のお話です。ドラマの人物設定と人間関係を活かして、ストーリー展開は新たな登場人物まわりで図るという、ネタに困ったシリーズものの定番の展開というところ。蛍とぶちょおの姿を見るだけでうれしいドラマファンにはいいでしょうけど、ドラマを見ていない観客(私はテレビほとんど見ませんので、これも見てません)には、ちょっとしんどい感じがしました。
 ローマへの新婚旅行と海外ウェディングに憧れるぶちょおと干物女蛍の関係は、最近見た「ガール」の香里奈と向井理の関係の逆バージョンともいえ、微笑ましい。こういうのたぶん実際にもよくあるんだと思う。それなら干物同士とメルヘン志向同士でくっつけばいいじゃないとも思いますが、そうもいかないのが男女の仲のおもしろい/悩ましいところ。
 縁側で寝転がってビールを飲みながら、ぶちょおにあたりめを取ってくれとせがむ蛍に、たった2cm手を伸ばすのを面倒がる女と心の中で評価するぶちょおと、思案顔のぶちょおを見てキスして欲しいんだわと思う蛍のすれ違いを描くシーン。う〜ん、ここ、それ以前に蛍が2cm先のあたりめを「取って〜」と言ってるのは、面倒くさがってるんじゃなくて、甘えてるんだと思うけどなぁ。

 帰りの飛行場に向かう途中で、思い直して教会で結婚式を挙げるぶちょおと蛍。飛行機はどうしたんだろ。イタリアじゃ、飛行機が時間通りに出発するはずがないって?

(2012.6.16記)

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