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たぶん週1エッセイ◆
映画「宿命」

 韓国ヤクザ映画「宿命」を見てきました。
 封切り2週目土曜日午前の部で7割くらいの入りでした。客層の多くは中年女性(韓流ファンでしょうね)で、内容は明らかにヤクザ映画なんですが、男性客のかなり少ない映画のようです。

 学生時代からの親友がともに裏社会に入り、カジノ襲撃計画の失敗と裏切りを契機に敵味方に分かれ、対立し、意地と組織の金をめぐる抗争を繰り広げるお話。
 冒頭から自分の親分のカジノを襲撃して大金を奪うという仁義なき戦いが繰り広げられますが、それで失敗して捕まっても1人が自首させられて1人がアキレス腱を切られる程度で済み、その後もそれなりのつきあいだったり、抗争でも武器は基本的には木刀・角材の類でギリギリになってナイフが出るくらいで銃器類は一度も登場しません。韓国の裏社会って、そんなに牧歌的なんでしょうか。
 それにカジノを襲撃して自首したとして、強盗致傷のはず(あと凶器準備集合と器物損壊・建造物損壊も付きそう)ですがそれで2年で出所って、日本なら考えられない。ましてや最近の重罰傾向の日本では・・・

 映画の売りは「ソン・スンホンとクォン・サンウ韓国2大トップスターの豪華共演」だそうですが、普通に見たら、組織を作らず昔の仲間を大切にする1匹オオカミのウミン(ソン・スンホン)が、喧嘩になるとめっぽう強く、昔の友人の苦しむ姿を見ていられずに後先考えずに殴り込んだり、危ないところにも駆けつけたり、ひたすら格好良く描かれています。
 対するチョルジュン(クォン・サンウ)は、カジノ襲撃でウミンらを裏切りその功績で親分(チョン・ドゥマン)の右腕となり事業を任され、手下を怒鳴りつけ殴りつけながら事業と金策を進めて行く悪役で、金策に困ってついにはまた親分を裏切り、ウミンとも対立を深めます。いかにも短気で威張り散らすいやなヤツで、できの悪い男と結婚して離婚を言い出す妹への甘さだけが人間味に見えます。
 もう1人、「友情出演」のヨンファン(チソン)が、やはり親分を裏切り、チョルジュンも裏切り、ウミンをも自分の手を汚さずに倒して組織の金を持ち去るという狡猾で卑怯な人物として登場。
 こうみると、普通に見る限り、ウミンの仲間を大切にする古くさく一本気な生き様への共感と、最後にはそれが身を滅ぼすという現実のやるせなさが、テーマであり見せどころと思えます。

 同じカジノ襲撃でも、「オーシャンズ」みたいに爽快にやってくれると見終わって気分よく帰れるんですが、この映画は最初から最後まで暗くて湿っぽくて暴力的です。やはり2大(3大?)スター共演のアクション映画というよりは、「韓国のヤクザ映画」というしかないと、韓流スターに関心がない私は思ってしまうのですが。

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