庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「フェイクシティ ある男のルール」

 キアヌ・リーブス主演の刑事アクション映画「フェイクシティ」を見てきました。
 封切り2週目土曜日午前中ですが、ガラガラでした。

 目的のためには手段を選ばない、犯人を平然と射殺するロス市警の刑事トム・ラドロー(キアヌ・リーブス)が、自分をかばってくれる上司ジャック・ワンダー(フォレスト・ウィテカー)の本部長昇進の際にかつてコンビを組んだ黒人警官ワシントン(テリー・クルーズ)が内部調査部にたれ込んでいるという情報を得てワシントンと対立していたところに、ラドローの前でワシントンが2人組のギャングに射殺され、ラドローがギャングと撃ち合った弾丸の1つがワシントンの方に命中したこともあり、ラドローがギャングを傭ったという疑惑が浮上、監視ビデオのDVDをラドローに持ち出させて証拠隠滅を図るワンダー、ラドローにつきまとう内部調査部のビッグス(ヒュー・ローリー)に囲まれながら、ギャングを追い続けるラドローが、その背後に警察組織の陰謀があることを知り・・・というストーリー。
 結末は、あえて書きませんが、こういう展開ならまぁ最後はこうなるでしょうねというところにやはり落ちつきます。

 ラドロー刑事は、容疑者を次々と有無を言わさず射殺する、いかにも刑事アクションものらしい突っ走りぶりです。正義の味方っていう感じでもなく、常時ウォッカを飲みながら飲酒運転するし、その原因が妻の死から立ち直れないっていうから、当然妻が無法者にレイプされて虐殺され犯罪を憎んでいるという設定かと思ったら、妻は別の男と不倫中に脳出血で倒れて男に置き去りにされて誰にも看取られずに死んだという設定。そのあたりの鬱屈ぶりが影を落としている、やや複雑なキャラになっています。
 冒頭の少女誘拐事件の解決のために、韓国人グループに(「こんにちは」と日本語で話しかけながら)マシンガンを売る話を餌に1人で近づき車を奪われたのを追ってアジトに乗り込んで1人残らず射殺して少女を救い出すエピソードも、どうしてマシンガンを餌にしたら少女誘拐犯が釣り上げられるのか、全員射殺した後で奥の部屋に誘拐された少女が監禁されていたのを見つけたけど踏み込む前からわかってたのか、疑問が残ります。

 ラドローのまわりは死体だらけになり、警察組織も覆面警察官が犯行を隠蔽するためにDNAを採るためだけで人を殺したり、人の命の扱いの軽さにあ然とします。
 私はどうもこういうバイオレンス物というか、次から次へと簡単に人を殺す映画、苦手です。
 ワンダーの清濁併せ呑む懐の深さと、ビッグスの自分の組織である警察内部に切り込むやや屈折した正義感あたりが見せどころでしょうね。

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