庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「アメイジング・スパイダーマン」

 スパイダーマンの新シリーズ「アメイジング・スパイダーマン」を見てきました。
 「世界最速」3D公開を2012年6月30日に控え、その前に行われた「先行上映」初日午前9時から(少なくとも東京最速:東京以外まで調べる気になれませんでしたけど)のTOHOシネマズ渋谷スクリーン3(297席)は3〜4割の入り。いかな初物とはいえ、土曜日午前9時からはちょっときつい。

 幼い頃両親の手で伯父・伯母夫婦に預けられ(その後両親は事故死と報道)高校生となったピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、ある日、父親のカバンの中に数式が書かれたファイルを発見し、伯父から父親の同僚だったコナーズ博士(リス・エヴァンス)の消息を聞かされる。コナーズ博士の勤務するオズコープ社に潜入したピーターは、思いを寄せる同級生グウェン・ステイシー(エマ・ストーン)がコナーズ博士のチーフ・インターンを務めていることに驚きつつ、研究室内に潜入し実験装置をいじっているうちに飼育されていた蜘蛛に噛まれてしまう。自分の手足が壁などに吸いつき、怪力となるなどの体の変化に戸惑い、持て余して周囲と問題を起こし、コナーズ博士と父親の研究を知ろうと夜間も徘徊するピーターを伯父は叱責し、飛び出していったピーターを追っていた伯父はピーターがあえて見逃した泥棒を取り押さえようとして撃たれ非業の死を遂げる。伯父を殺した犯人を捜し求めて夜のニューヨークを徘徊するピーターは、チンピラやこそ泥と度々けんか騒ぎを起こし、顔を見られないようにマスクと赤青のボディスーツを身にまとったことから注目され、警察から追われることになる。グウェンから夕食の招待を受け、20階の部屋の窓から現れ自らの素性を明かしたピーターにもグウェンは好意を示し、思いが通じるが、グウェンの父親はニューヨーク市警の捜査主任で、スパイダーマンを追っているキャプテン・ステイシー(デニス・リアリー)だった。一方、自らも右腕を失い、異種遺伝子交配による再生医療を追い求めるコナーズ博士は、ピーターが父のファイルから書き写して示した数式で実験に成功し、それを知った社から直ちに人体実験をするよう求められる。良心と社の命令に挟まれて窮余の一策として自ら血清を注射したコナーズ博士はオオトカゲに変身して大暴れし、それを知ったピーターは自分が止めなければと立ち向かうが・・・というお話。

 荒唐無稽なヒーローもののアクション映画ですが、基本線が、人間の過ちと自責の念というあたりに置かれていて、ダークトーンの映画になっています。夜のニューヨークを舞台にしたすさんだ高校生ものという舞台・人物設定もそれにマッチした感じです。
 素直でない荒んだ態度で伯父の叱責を買い、そのことから伯父を死なせ伯母を悲しませることになったことへの後悔に暮れるピーターの心情は、危険な17歳とかワイドショーあたりが言い立てたがる不安定な成長期の高校生のありさまをよく示していると感じられます。
 かつて、社の命令に背いたピーターの父らを追い落とし、その思いから社の命令を拒否したものの、解雇を言い渡され、社が患者を騙して人体実験をすると聞き、思い悩むコナーズ博士の心情もまた、悪用されうる科学テーマを研究する研究者の良心の問題を示しています。
 ヒーローの戦う姿の華々しさよりも、帰ってこないかもしれない戦いに向かわせることへの抵抗感、待ち続ける身の不安感が、グウェンとピーターの伯母の言葉と態度で強く表されています。
 そういう手放しの賞賛でない新たなヒーロー像が示されている映画ですが、それでもなお自分がやらねばという使命感で戦うところにまたヒーローのかっこよさを見いだすという構造でもあるかなと思います(これって、「止めてくれるなおっかさん」ですか・・・)。

 ピーターとグウェンの恋愛は、明らかにグウェンが上手。バルコニーで、グウェンが明らかに告白を待っているのに、ピーターは自分がスパイダーマンだというかどうかを思い悩み尻込みするズレは、まぁご愛敬としても。恋愛の機微というか、駆け引きでは、大抵の男は女に太刀打ちできないということを再確認する思いです。

 エンドロールの後、言わずもがなの続編の示唆がされています。続編は当然作られると予想していますが、こういうの、なんか後味が悪い。

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