◆たぶん週1エッセイ◆
映画「彼女が消えた浜辺」
2009年ベルリン映画祭銀熊監督賞受賞のイラン映画「彼女が消えた浜辺」を見てきました。
封切り2週目祝日、全国で2館だけ、東京では唯一の上映館のヒューマントラストシネマ有楽町は、大雨・雷・洪水注意報発令中の(そんな日に映画見に行かなくても・・・)午前の上映で7割くらいの入り。観客層は中高年が多数派でした。
家族ぐるみのつきあいの友人たちが連休にカスピ海沿岸のリゾートで過ごすことになり、セピデー(ゴルシフテ・ファラハニ)は、ドイツ人妻と離婚して傷心中のアーマド(シャハブ・ホセイニ)と引き合わせるために、子どもを預けている保育園の保母エリ(タラネ・アリシュステイ)を誘い、同行させた。セピデーの思惑通り、アーマドはエリを気に入るが、男たちがビーチバレーをし、女たちが買い物に出てエリに子どもたちを見ていてもらっている間に、子どもの1人が溺れ、他の子の知らせで男たちが駆けつけて子どもを助けるが、ふと気がつくとエリの姿はどこにもなかった。その前にエリが母に1泊だけと言ってきたから帰らなくちゃと言い、セピデーがエリを引き留めるためにエリの荷物を隠していたことから、エリが子どもを助けるために海に入って溺れてしまったのか黙ってテヘランに帰ってしまったのかわからなくなった。アーマドがエリの携帯電話の着信履歴の相手に電話したことからエリの兄と名乗る人物が訪れ・・・というお話。
エリはどうなったのか、兄と名乗る人物へのエリの感情をめぐるミステリーの形を取っていますが、むしろそれを機に人間関係、夫婦・男女の関係をめぐる感情の機微を描いた作品として見るべきでしょう。
ダイナミックな展開はなく、しみじみと見る作品です。
エリよりもセピデーの表情・陰影が魅力的で、そちらの方に惹かれてしまいました。ラストは、エリの心情に思いが移りますけど。
日本の観客には、イランでも「みなしごハッチ」が放映されてたのねというのが一番の発見かもしれません。
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