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 民事裁判の法廷の様子

 裁判は、本来的には、法廷で行われます。
※しかし法廷で行われる口頭弁論期日のために主張の整理などの準備を行う期日(弁論準備期日など)は、法廷ではない部屋で行うことができ、さらにはWeb会議(裁判所ではマイクロソフトのチームズ:Teams が利用されます)で行うこともできます。近年は、特にコロナ禍後は、傍聴人が多数詰めかけるような事件以外のふつうの事件では、第1回口頭弁論期日のあとは弁論準備期日とされて口頭弁論に戻る(法廷で行う)のは商人・本人の尋問期日ということが多くなっています。つまり、現実に法廷で行われるのは第1回口頭弁論期日、尋問期日、弁論終結の期日、判決言渡期日だけというのが、むしろ標準となってきています(本人訴訟の場合は、すべての期日を法廷で行うこともわりとあるようです)。双方に弁護士が付いた事件では、第1回口頭弁論期日も、弁論準備期日に切り換えることが多くなっています。

 法廷で行われている裁判は、誰でもみることができます。とは言っても、おしゃべりしたり、飲み食いしてたら追い出されます。もちろん、携帯なんか鳴らしたら大ひんしゅくです。
 裁判を見ることを傍聴(ぼうちょう)といいます。

  法廷のメンバーと着席場所

 傍聴席から見ると、正面の壇上の席に裁判官が座ります。裁判官は3人の場合と1人の場合があります。裁判官が1人でその横に1人普通の背広の人が座っているときは、その人は見習いをしている人です。
 裁判官席の前で傍聴席の方を向いて黒い服を着て座っている人は裁判所書記官(しょきかん)です。書記官は裁判の手続を記録しています。
 書記官の横に横向きに座っているのは裁判所事務官です。廷吏(ていり)と呼ぶ場合もあります。事務官は審理する事件の当事者を呼び入れたり、当事者と裁判官の間の書類の受け渡しをしたりします。
 傍聴席から見て左側は原告席です。民事裁判では裁判を起こした人を原告、起こされた人を被告といいます。原告席には、原告側の弁護士と原告本人が座ります。多くの事件では本人は出席せずに原告側の弁護士が座っています。傍聴席から見て右側は被告席で、多くの場合被告側の弁護士が座っています。
 裁判の流れのところで説明しますが、民事裁判は当事者の主張をする段階と証人調べをする段階に分かれます。主張をする段階ではバー(しきり、柵。英語の bar です。bar の向こう側の人ということで英語で弁護士のことを bar と表すこともあります。「弁護士会」の英語表記は bar association です)の向こう側にいるのはこれくらいです。
 主張の段階では、数分で1つの事件が終わり、流れ作業的に続くので、見ていて面白いことはなく、傍聴席にいるのは、大抵、自分の事件の順番を待っている弁護士だけです(近年は、主張の段階は法廷で行われないことが多くなりました。その結果、弁護士が傍聴席で自分の事件を待っていることもほとんどなくなりましたが)。
 証人尋問の段階になると、バーの向こう側に登場人物が増えます。裁判官席の前、真ん中に、傍聴席に背を向けて座っているのが証言をするために来た人です。証人の場合もありますし、原告、被告本人の場合もあります。以前は証人尋問のときは、たいてい証人の前、書記官の横に手動式の特殊な機械を置いて速記官(そっきかん)が座っていましたが、最近ではテープ録音と反訳業者を使うことが多くなり、東京地裁の場合部によって速記官を使う部と速記官を使わずに録音と反訳業者を使う部があり、速記官の姿を見ることが少なくなりました。

  傍聴の実情

 傍聴席には、ときどき裁判所見学らしい学生のみなさんが並ぶことがあります。でも民事事件だとほとんどの場合途中で飽きて出て行ってしまいます。それまでのいきさつを知らないで突然聞いても何の話かわからないのは当然です。法廷ドラマみたいなものを期待しないで、がまん強く聞いていると少しくらいはわかるかもというレベルでしょう。
    

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