庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ
ハリー・ポッターと炎のゴブレット(映画)
 2005年11月19日、小学生の娘を連れて「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の「先行上映」に行ってきました。当然、混んでるよねと力入れて1時間以上前に行って並んだんですけど、20人くらいしか並んでなくて。上映開始時間になっても半分も埋まってなかったですね。最近、映画見に行く度に思うけど、映画業界大丈夫なんですかね。
 内容ですが・・・。やっぱり、2時間半によく詰め込んだよねってことなんでしょうね。
 私としては、クィディッチワールドカップの試合シーンとか尻尾爆発スクリュートは、映像にして欲しかったし、映画としても映像として入れた方が盛り上がったと思うんですけどね(DVDの特典映像の未公開シーンにもなかったですね。撮るの大変だから。DVDの特典映像の未公開シーンに原作にはないホグワーツの校歌の合唱シーンがあってそれは得した感じがしました)。
 マッド・アイ・ムーディの魔法の目(左目だったんですね。原作には書いてないようですけど)は回ってなくてただのちゃちな義眼だし。浅い水盆のはずのペンシーブが三面鏡付きの洗面台になって大量の水をたたえているのは、脚本家の原作読み違いだと思います。
 まあ、いくつか不満は残りますが、あれだけ長い話を基本的なエピソードを外さずに押し込んだのは立派なものと思っておきましょう。
 でも、原作を読んだハリー・ポッターファンとして、ストーリーが描けているかを確認するのなら、細部をかなり変えたけどよく押し込んだよねでいいんですが(もちろん、子どもは「全然違うよ」と言いますけどね)、映画としてみたらどうなんでしょうね。
 これまでの3作と比べると、ハリーとロン、ハーマイオニーの「友情」があまり描けてない気がするんです。ロンは基本的に妬いてるだけ(最初はハリーに、ハリーと仲直りした後はクラムに)。ハーマイオニーは、存在感はあるけど、それは恋愛関係をイメージさせる場面が中心です。
 では「恋愛」が描かれているかっていうと、ハリーのチョウ・チャンへの思いは「一応2〜3シーン入れてみました」っていう程度です(DVDの特典映像の未公開シーンにもう1カットありましたけど)。ハーマイオニーはご活躍だけど、何を考えてるのかわかりません。原作では、ハーマイオニーの気持ちはかなりはっきりロンに向いています。クラムとの関係はただのお友達程度のはずでした。「炎のゴブレット」では。(「謎のプリンス」でハーマイオニーがクラムとキスをしていた−snogged−:日本語版では上435頁、454頁と書かれていて「えっ」と思いましたけど)。映画では、原作では出てこないハリーに思いを寄せるかのようなシーンが出てます(第1の課題の前)。ロンには「今度ダンスパーティがあったら、ほかのだれかが私に申し込む前に申し込みなさいよ。最後の手段じゃなくって!」と言った後に泣き崩れます(原作ではそう言い捨てて立ち去るんですけど。ロンとの優劣が逆になってますね)。クラムとの関係では、ハリーの前で「ビクトールって体ばっかり」なんて話すシーンがあってどっきりします(吹替版。英語字幕は"Victor's more of a physical being.")。映画を見てるとハーマイオニーがだれを好きなのかわからなくなります。ローリングは、公式サイトのFAQで「ハーマイオニーはロンかハリーが好きなのでしょうか?」というクェスチョンに「まだそれがわからない人がいるなんて信じられませんが、答は書きません。議論に水を差すことになりますし、わたしもその議論を楽しんでいますから。」と書いていますが、映画はこういうクェスチョンを出す人のために作ってるんでしょうね。でも、それはハーマイオニーの人物像をかなり歪曲することになると思います。
 それではハリーの自立が描かれたかっていうと、それもねえ。
 ラストシーンも、ただボーバトンの馬車とダームストラングの船が去っていくだけで、絵としてはきれいなんだけど、なんか工夫がないなあって感じ。ハリーの自立を示唆するつもりなら、復活したヴォルデモートと闘う決意を秘めたハリーを映して終わる方がよかったんじゃないでしょうか。
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(2005.11.20記、2006.4.22DVDで確認して若干修正)

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