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◆女の子が楽しく読める読書ガイド◆
タラ・ダンカン
(原題 : TARA DUNCAN)
ソフィー・オドゥワン=マミコニアン作
1巻 若き魔術師たち (原題 TARA DUNCAN ET LES SORTCELIERS) 2003年
2巻 呪われた禁書 (原題 TARA DUNCAN ET LE LIVRE INTERDIT) 2004年
3巻 魔法の王杖 (原題 TARA DUNCAN ,LE SCEPTRE MAUDIT) 2005年
4巻 ドラゴンの裏切り (原題 TARA DUNCAN ,LE DRAGON RENEGAT) 2006年
5巻 禁じられた大陸 (原題 TARA DUNCAN ,LE CONTINENT INTERDIT)
原書は2007年9月29日発売 日本語版5巻は2008年7月18日発売
6巻 TARA DUNCAN ,DANS LE PIEGE DE MAGISTER(マジスターの罠にかかったタラ・ダンカン)
原書は2008年10月5日発売
(著者は「毎年1巻」の宣言を守っていますね。本当に10巻まで行くんでしょうか)
フランス語版と日本語版でタラもモワノーもイラストのイメージかなり違いますね。フランス語版ではちょっと不気味だった(怖かった)タラのイラストが大人になって少し丸くなってきた感じ、日本語版は14歳になっても小学校中学年風のロリータ顔。
公式サイトはこちら(著者のブログはこちら)
主人公は、生まれながらに魔力を持つ12歳(1巻時点。5巻で14歳)の少女タラ・ダンカン(本名はタラティランネム・タル・バルミ・アブ・サンタ・アブ・マル・タル・ダンカン)。
舞台は、魔法が支配する「別世界」(オートルモンド:AutreMonde)と人間の住む地球、悪魔が封じ込められた煉獄。この3つの世界をめぐってドラゴンと人間と悪魔の闘いが繰り広げられます。人間の中にはドラゴンと連合した魔術師と、ドラゴンを裏切って悪魔と手を結ぼうとする魔術師(サングラーヴ族)がいて、現在はドラゴン・人間vsサングラーヴ族・悪魔の闘いが行われています。サングラーヴ族が地球侵略のために必要な「悪魔の宝」を得るためにタラの力を必要としたために、タラはその闘いに巻き込まれ、仲間とともにサングラーヴ族と闘うことになります。
作者は、第10巻まで書くと宣言しているそうです。1巻で「悪魔の宝」シリュールの玉座が破壊された後も、「悪魔の宝」は他にもいくつかある(3巻で明らかにされたところではシリュールの玉座、グルイグの剣、ドレキュスの冠、クラエトルヴィールの指輪、ブリュックスの王杖、クスルーの二重の斧、ヴロンの甲冑、ジセルの盾、ラオールの槍、サンティールの笛、マンタールの玉など13個だそうです:上巻57頁、下巻100〜101頁)とされていますし、本の最初についている別世界の地図も「西側」と書かれていて5巻の上まで「西側」だけで話が進展してきましたが5巻上の巻末の地図で初めて「東側」の地図が登場し、世界が拡がるなど、お話はかなり続きそうです。
4巻上の付録の「別世界通信」で著者のサイトのFAQの一部が翻訳紹介され、その中で作者は「10巻分のシナリオはすでに私の頭の中にある」「マジスターの正体は最後の巻で明かされるわ。そこでダンヴィウを殺した理由もわかるはずよ」と答えています。最終巻までそれを引っ張られても・・・。5巻上の付録の「別世界通信」で著者のブログの読者の質問に答える記事の一部が翻訳紹介され、そこでは最終巻(10巻)の最終章は17年も前に書き上げているとされています。そこまでハリー・ポッターを意識しなくてもと思いますが・・・。(4巻上の付録の「別世界通信」で紹介されているのは著者サイトのFAQ、5巻上の付録の「別世界通信」で一部紹介されている元の記事は著者のブログの2008年2月4日の記事です。どちらももちろんフランス語ですけど。「別世界通信」より詳しく知りたい方でフランス語が読める方はこちら(FAQ)とこちら(2008年2月4日の記事)をどうぞ。)
お話そのものの面白さについては、きっと評価が2分されると思います。ハリー・ポッターを精読している読者にとっては、多くのエピソードにどこかで見たような感じがするでしょう。まあ、魔法使いのファンタジーを書こうと思えば考えることはそう変わらないということなんでしょうけど。
主人公が女性で舞台がより大きくなり話の展開が速く他方やや緻密さが減ったハリー・ポッターだと考えればいいでしょう。ハリー・ポッターの2番煎じなら読みたくないと思う人は評価が低くなり、ハリー・ポッターの世界になじんでいてハリー・ポッターだけでは足りない(待ちきれない)人は面白いと評価するでしょう。
少女が主人公の冒険ものというと、強力な男性の仲間がいて闘いの場面ではその男性に頼りがちとか、圧倒的な指導者がいて主人公はその指示に従うだけなんてものが少なくありません。
しかし、タラ・ダンカンは、仲間より強い魔力を持っていて、自ら先頭に立って闘います。タラ・ダンカン自身、子ども扱いされるのはいやなようで「カワイコちゃんですって!そんなふうに私を呼ぶのは禁止よ!」といっています(1巻上140頁。原作は見てません:フランス語ですので・・・ちょっとニュアンスはわかりませんけど)。また、5歳の時から「お嬢ちゃん」と呼ばれることをぞっとするほど嫌っているそうです(4巻上267頁)。指導者のシェム先生(シェムナシャオヴィロダントラシヴュ)はいますが、どこか頼りにならないところがあり、タラ・ダンカンは自分の判断で行動しています。3巻になると、14歳になったタラ・ダンカンはオモワ帝国の女帝の世継ぎとしてマジスターとの戦いを決断し、年長の大臣たちを説得したりもします。(4巻でタラの異常に強い魔力がドラゴンによる遺伝子操作のためであることが明らかにされ、4巻の最後でタラの魔力が失われます。5巻の上でタラは自らの魔法が使えない状態が続きましたが、その間も「生きている石」やシャンジュリーヌを駆使して事実上魔法が使えるのと大して変わりませんでしたし、5巻の上の終わりで魔力が復活してさらにパワーアップされました)
そして、男性が主人公のファンタジーでは男性の仲間と恋人役がいるのが普通なのに、女性が主人公のファンタジーで女性の仲間がいることはほとんどありません。
タラ・ダンカンではモワノー(グロリア・ダヴィール)という女性の仲間がいるという点も特筆すべきでしょう。しかも、このモワノーが華奢で内気な性格なので当初はありがちな主人公の引き立て役かと思っていたら、後には体長3mもあるクマと雄牛とオオカミをかけあわせたようなケダモノに変身し、力ずくの闘いにはモワノーが前に出ることになります。さらにモワノーの他に力持ちでけんかっ早い勇猛な小人ファフニール(ファフニール・フォルジャフー)も女性です。
表現も女の子が読んで不快になるものはほとんどなく、気持ちよく読めると思います。(3巻になって容貌をめぐる表現や女の子だから泣いていいでしょというような表現が出てきますが、同時に男の子も同じとフォローされています。例えばモワノーがファブリスへの思いの中で「私のこと、きれいって思ってくれてるの?私はかわいい?それとも・・・ブス?」:3巻下171頁。タラがカルにアドヴァイスして「ルックスは重要だけど、最初のうちだけよ。」:3巻下132頁。ルックス重視の表現はどうかと思うけど男の子にも求めているので、まあいいか・・・。「それに私は女の子よ、女の子なんだから泣いてもいいでしょ?」:3巻下200頁「別に男の子だって泣いてもいいと思うけどさ」:同とかね・・・)
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