たぶん週1エッセイ◆
映画「脇役物語」

 万年脇役に甘んじていた俳優に訪れた主演映画と恋のチャンスを描くラブコメ「脇役物語」を見てきました。
 封切り3週目日曜、東京で唯一の上映館ヒューマントラストシネマ有楽町の午前10時からの上映はほぼ満席。といっても63席のスクリーンですけどね。

 人がよくて純朴な俳優松崎ヒロシ(益岡徹)は、妻と離婚して有名作家の父(津川雅彦)と2人暮らし。店の前にいれば店員と、ホールにいれば係員と、いつも人違いされるヒロシは、そういう自分を不満に思っていた。万年脇役で、現在もテレビドラマで脇役の警察官役を続けているヒロシに、ウディ・アレン映画のリメイク版の主役の声がかかり、ヒロシは張り切っていたが、ある日花屋の店員に客の忘れた花束を渡すように頼まれて仕方なく渡そうとしたところをスポーツ紙に写真を撮られ議員の妻(松坂慶子)の不倫相手と報道されてしまい、怒った議員が圧力をかけて映画の主役の話はボツになってしまう。その頃、駅でスリの疑いをかけられていた新人女優アヤ(永作博美)を助けたところ、ヒロシが俳優と気付いたアヤは、ヒロシが人違いされるのはいろんなキャラに変身できるからだと励まし、積極的にアプローチするが、ヒロシは不器用な性格もあり素直になれずにつっけんどんな態度を取ってしまう。ヒロシは潔白を証明して映画の主役の話を復活させようともがくが、果たしてヒロシは主役になれるのか、アヤとの恋の行方は・・・というお話。

 登場する時間、台詞の数、ストーリー上の位置づけ、すべてにおいてヒロシ(増岡徹)が主役なんですが、役柄の余裕と包容力、堂々・飄々とした態度など父親(津川雅彦)に圧倒されて、喰われてるなぁと感じてしまいます。主人公が純朴で不器用で迷いを見せという役柄だからなんですが、やっぱり脇役慣れしているのが態度にも表れてしまうような・・・
 基本的にコメディですし、ヒロシの人の良さ・純朴さと父親に示す(屈折した思いもないではないけど)愛情、アヤの明るさ・ポジティブな態度に象徴されるように、ハートウォーミングな映画です。よく考えてみると結構憂い顔の場面や泣いているシーンもあるのですが、永作博美の笑顔が印象に残る映画でもあります。

 最初の方で、永作博美が歯磨きのCM撮りで笑顔が決まらず、制作サイドから別の娘いないの?と声がかかりむくれるシーンがあります。制作側の意図とは無関係ですが、ヒューマントラストシネマでは予告編上映中に流すヒューマントラスト自身のプロモーションビデオに、撮影中にスタッフが「違うなぁ、違うんだよ。そうだ、モデルが違うんだ」と叫ぶシーンがあり、それを思いだして笑ってしまいました。今日の予告編ではそれは流していなかったのですが。

 スタートとエンドロールのイラスト。色使いが日本映画らしくない明るめのパステルカラーで、描かれている風景は東京なのにどこかパリっぽい感じがして、しゃれた味わいがあります。

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