たぶん週1エッセイ◆
映画「SP 野望編」

 深夜枠で歴代1位の視聴率を誇ったというフジテレビのドラマの映画版続編「SP 野望編」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、最大スクリーン790席をあてがった渋東シネタワーでの午前9時からの上映は1割足らずの入り。公開最初の週末ぶっちぎり1位の観客動員だったとはいえ、土曜日午前9時からの上映は無謀ということでしょう。午後いっぱい仕事にあてたかった私にはありがたい上映時間でしたが。

 六本木ヒルズでのイベントで警護に当たっていた警視庁警備部警護課第4係の井上薫(岡田准一)は持ち前の危機察知能力を発揮して会場に潜入したテロリストを識別し、街頭・トラックの荷台上・地下鉄駅内での追跡格闘の上逮捕する。SPの職務は要人の警護で犯人の逮捕じゃないと叱責する警備部幹部に対して反論する尾形係長(堤真一)は、テロの危険の現実を見せつけて国民の目を覚まさせて「革命」を実現しようとする官僚グループに属していた。「革命」をもくろむグループを支援する与党幹事長伊達(香川照之)とグループの動き、井上をグループに引き込もうとする尾形の動き、西島理事官の自殺に不審を抱き内偵を続ける公安部の動きが錯綜する中、官房長官の警護に当たることになった4係のメンバーにテロリストの襲撃が・・・というお話。

 テレビドラマの続きの設定でストーリーが展開し、ドラマのストーリーとか設定の説明がほとんどないので、テレビドラマを全然見ない私には、最初はちんぷんかんぷん。冒頭の警護場面で頭痛めまいに襲われる井上を見て、病気か?それとも二日酔い?って思いましたもん。これが突出した危機察知能力(というより、あれじゃ予知能力ですね)を持ってて、その症状、いや現れなんて思えません。だからその後全力疾走を続けるのを見て、あんた体調悪かったのと違う?って思いますし。まぁ見ているうちにおいおいわかるようにはなっていますが、西島理事官の自殺とかは経緯の説明が何もなくてみんながそれを前提に話すのでついて行けない感が残ります。

 設定は、「平和ぼけ」した国民と政府にテロリストの危険を実感させて危機管理に即したシステム(要するに独裁的なシステム)を実現しようという「大義」に基づく「革命」を目指す若手官僚グループと政治家という、近年ありがちなものです。テロと戦うと言いながら、その体制実現のために見せつけるテロを敢行するのでは、自分たちこそがテロリストなのですが。こういう設定が、だんだん荒唐無稽に見えなくなってきているのが、時代の雰囲気としていやな感じがします。
 それにしても、自分の部下に対する襲撃に加担する上司とそれがわかってもその上司の下で働き続ける部下との関係って・・・

 映画としては、岡田准一のアクションを見るための映画と割り切るべきなのでしょう。ストーリーとしては、設定はわかりますが、展開は2011年春公開予定の後編の「革命編」に委ねられたという感じです。アクションシーンが多すぎ、長すぎる感じがしますし、危機を予知する場面が続き、パターン化された感じもしますが、アクション自体はがんばってるなぁと思いますし、迫力があります。

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