たぶん週1エッセイ◆
映画「ルーパー」
ここがポイント
 タイムループもののタブーともいうべき自分同士の対決というアイディアが売りの映画
 刹那的なワル男がなじみだった娼婦と連れ子に寄せる思いと決断から来るラストは少し心地よい

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 タイムマシンが発明され封印された30年後の未来から犯罪組織が始末するために送ってくる敵対者を殺す処刑人の運命を描いたSF映画「ルーパー」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、新宿ミラノ1(1064席)午前11時45分の上映は1割足らずの入り。

 2044年のアメリカで、30年後の未来の犯罪組織から始末するためにタイムマシンで転送されてくる敵対者を待ち受けて銃殺する処刑人「ルーパー」の1人ジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィッド)は、報酬の銀塊をため込みフランスで暮らす夢を見ながらも薬物と娼婦に溺れる生活を送っていた。30年後の未来では、タイムマシンが発明されるがその使用は禁止され、犯罪組織だけが証拠を残さずに敵対者を殺害するために密かに使い続けていたのだった。未来の犯罪組織から送り込まれてきたエイブ(ジェフ・ダニエルズ)に指示されて働くジョーたちルーパーには失敗は許されず、そして生きながらえても30年後には秘密を守るために抹殺される運命が待っていた。ある日、ジョーが指示された時刻に標的の転送を待っていると、時刻に遅れて現れた標的は30年後のジョー(ブルース・ウィリス)だった。戸惑うジョーを襲った30年後のジョーは逃走して町に潜伏し、ジョーはその後を追うが・・・というお話。

 タイムループもののタブーともいうべき自分同士の対決というアイディアが売りの映画です。タイムループものでは、未来からの介入が未来に影響を与えてしまうという問題のため、未来から来た者は過去にできる限り影響を与えない、過去の自分に見られないということを心がけて動くのが常ですが、この作品ではそういうことは端から気にしてません。そもそも未来からの介入でその未来自体が変わってしまうことを考え始めたら、パラレルワールドに開き直るしかありません(それでもその未来から来た人が戻る未来はどの未来?という疑問が出て来ますし)し、考えてもわからないことですから、気にしない方がいいのでしょう。
 宣伝では前に出ませんが、タイムマシンとともに、超能力TKパワー(念力:テレキネシス Telekinesis の略でしょうね)が基本的な道具立てになっています。これは未来とどう関わるのかよくわかりませんが。この非合法のタイムマシンと超能力という組み合わせが、SFなのに前向きの夢ではなくうさんくささだけを感じさせます。
 刹那的なワル男が、なじみだった娼婦と連れ子に寄せる思いと決断から来るラストは、確かに意外で(公式サイトで書かれている「どんでん返しに次ぐどんでん返しの先に待ち受ける、驚愕の結末」とまでは思えませんが)少し心地よい。設定のアイディアとこのエンディングで成り立つ映画というところでしょうか。

 その設定ですが、未来では科学捜査が進みあらゆる犯罪に足がつくので殺人が犯せないから、犯罪組織は殺したい人物を30年前に転送してそちらで殺害して死体も始末させるという説明だったと記憶しています。それなのに、30年後のジョーが30年前にやってきたのは目の前で妻を殺され、妻を殺した犯罪組織のトップ「レインメーカー」を子ども時代に抹殺するため。30年後の世界では殺人は犯せないはずじゃなかったの?ジョーの妻の殺人事件はどう処理されたの?
 あと、犯罪組織から逃げたジョーが、「1年後」のキャプションが入る前に1度また未来から転送されてきた人物を撃っているシーンが入っていたように思えるのですが、これは何なんでしょう。ジョーは組織に戻ったのか、それならその後ずっと組織を離れて上海で暮らしているのはなぜなのか、ちょっと納得できない感が残りました。私の見間違いでしょうか。
(2013.1.21記)

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