たぶん週1エッセイ◆
映画「鍵泥棒のメソッド」
ここがポイント
 人生の転換と予想外の危機に見舞われる設定・展開と、水嶋と山崎の恋が成就するかがテーマのコメディ
 どん底状態で、自力で生きられる大人の女性から手をさしのべ好意を示されれば、感激するしかないと思う

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 売れない役者と殺し屋が入れ替わるコメディ「鍵泥棒のメソッド」を見てきました。
 封切り18週目土曜日、現時点で全国7館東京で2館の上映館の1つキネカ大森シアター2(69席)午前11時の上映は4割程度の入り。

 所持金千数百円家賃も滞納しまわりから借金しまくりの売れない役者桜井武史(堺雅人)は銭湯で羽振りのよさそうな男山崎(香川照之)が転倒して頭を強打し気を失ったのを見てロッカーの鍵をすり替えて男の車に乗り込む。男の財布にあったお金で方々に借金を返した桜井は、男の入院先に男の服を持って謝りに行くが男が記憶を喪失し自分が桜井武史だと思い込んでいるのを見て、そのまま立ち去り男の自宅に行った。男の携帯に出た桜井は話を合わせていたが、実は男は「裏社会の便利屋コンドウ」と呼ばれる腕利きの殺し屋で、桜井は暴力団員から次の殺人を請け負うハメになる。一方、余命幾ばくもない父親に花嫁姿を見せるために2か月以内に結婚すると決意した雑誌編集長の水嶋香苗(広末涼子)は、父を見舞った病院で呆然としている桜井と名乗る男(香川照之)の世話を焼くうちに、記憶を喪失した上金もなく売れない役者だと気付いて途方に暮れながらも一所懸命に役者の勉強を始めて生きていこうとする姿に感激し、プロポーズする。水嶋に好意を持ちつつもあまりの性急さに戸惑う山崎は、容態が急変した水嶋の父の葬儀に立ち会った後、記憶を取り戻す・・・というお話。

 危ない橋を渡りながらリッチな暮らしをしてきた山崎が記憶を喪失して金欠の役者として生き、売れない役者だが生真面目な桜井が金まみれになりながらも暴力団に見張られながら殺人を迫られるという人生の転換と予想外の危機に見舞われるという設定・展開と、水嶋と山崎の恋が成就するかがメインテーマのコメディです。
 確かに最初に結婚ありきの挙動不審ともいえるずれまくりの行動に引かされる水嶋ですが、所持金もなく定職もない状態におかれて記憶を失ったどん底状態の山崎の立場で、自力で生きられる大人の女性からそういう自分に手をさしのべ好意を示されれば、これはもう感激するしかないと思います。言ってみれば、金や地位に惹かれているのではなく純粋な愛を示されているわけですから。たぶん、自分が山崎の立場に立ったら水嶋と結ばれると思います。仮にその後記憶を取り戻し自分が金持ちだったとしても。もっとも、弱いだらしない男に、いわゆる「母性本能」をくすぐられ、「そういう男に尽くす自分」に酔ってしまうというパターンもあり、それだと先々思いやられる展開もありですが・・・
 恋にときめいて胸がきゅーんとなる「きゅーんのマシーン」が30代になると壊れてしまうと、水嶋の姉は言うのですが、ホントでしょうか。確かに52歳のおじさんには「きゅーん」という思いは忘却の彼方ですが、ときめきとかウキウキワクワクとかは・・・時々は感じたいなと思うのですが。
(2012.12.23記)

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