たぶん週1エッセイ◆
映画「阪急電車 片道15分の奇跡」
ここがポイント
 それぞれが自分の哀しみやコンプレックスを乗り越え、他の登場人物を癒し勇気づけていくという連鎖が、観客を和ませ勇気づけていく、地味だがしみじみと味わいのある映画
 私の好みとしては、ゴンちゃんの純朴さと、悦子の「アホ彼」にほのぼのぶり

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 様々な問題を抱えた女たちが阪急今津線の中で出会い触れ合う映画「阪急電車 片道15分の奇跡」を見てきました。
 東京での封切り初日(関西では4月23日から先行上映)の金曜日・祝日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ初回上映は3割くらいの入り。

 婚約者を後輩OLに寝取られた高瀬翔子(中谷美紀)は、2人の結婚式に当てつけで純白のドレスを着て出席し、途中退席して阪急電車に乗り込む。夫と息子と慎ましく生活している主婦伊藤康江(南果歩)は息子のPTAのつきあいでセレブ気取りのおばちゃん軍団に浪費を強いられ、また人の迷惑を顧みないおばちゃんたちの振る舞いに恥ずかしく思いながら断り切れずにいた。イケメンだがジコチュウのDV男に怒鳴られ暴力をふるわれながら別れられずにいる森岡ミサ(戸田恵梨香)は、渋る男と新しい部屋探しに向かうため、阪急電車に乗っていた。志望校の水準に届かない門田悦子(有村架純)は社会人の彼とつきあっているが、彼は悦子が合格するまでHは我慢している。悦子の志望校の学生権田原美帆(谷村美月)は都会風の同級生について行けず名前にコンプレックスを持ち、同じ大学でパンクファッションで軍事オタクの小坂圭一(勝地涼)は友達もできず孤立していた。友達にハブられた小学生は涙をこらえて通学していた。犬を怖がっていた夫に先立たれた萩原時江(宮本信子)は、孫娘の亜実(芦田愛菜)を連れて阪急電車に乗り込んだ。涙ぐむ翔子を亜実が声高に指摘したのをきっかけに時江が話を聞き始めたことからそれぞれの思いがつながっていき・・・というお話。

 主人公が定まらない群像劇で、それぞれが抱えていた哀しみやコンプレックスを癒し、乗り越えて、そのそれぞれが他の登場人物を癒し勇気づけていくという連鎖が、見ている者を和ませ勇気づけていく、地味ですがしみじみと味わいのある映画です。
 予告編の取り方とかからは、中谷美紀と戸田恵梨香を宮本信子が勇気づけるというエピソードが中心になっていますが、他の登場人物のエピソードも絡み合って全体で見せるという感じです。私の好みとしては、ベタですがゴンちゃんの純朴さと、悦子の「アホ彼」にほのぼのとした好ましさを感じました。

 個人的には、この映画でほぼ唯一の憎まれ役の、反省しない迷惑なおばちゃん軍団の一人が小学校・中学校の同級生で、そういう動機で初日初回上映に駆けつけたのですが、それを置いても心がホワッとする後味のいい映画だったと思います。

(2011.4.30記)

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