庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ドラキュラZERO」
ここがポイント
 家族や故国を守るために、愛する人のために、という素朴な問いかけと情で見る作品
 設定の緻密さは求めるだけ無駄という感じ

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 家族と国を守るためヴァンパイアとなる君主の苦悩を描いた映画「ドラキュラZERO」を見てきました。
 封切り6週目日曜日、12月末の閉館が近づく新宿ミラノ座(1064席)午後1時30分の上映は5%未満の入り。

 子どもの頃オスマン帝国に少年兵として差し出され、無敵の殺人兵器として活躍し、故国トランシルヴァニアに帰還したヴラド・ドラキュラ(ルーク・エヴァンス)は、妻ミレナ(サラ・ガドン)と息子と平穏な日々を送り、民衆からも慕われていたが、オスマン帝国皇帝となったメフメト2世(ドミニク・クーパー)は、ヴラドの息子を含む1000名の少年を差し出すよう求めてきた。一旦は、メフメト2世の要求を呑むことにしたヴラドだったが、息子を奪われることに耐えられず、息子を連れに来たオスマン帝国の兵士たちを斬り殺してしまう。以前山中の洞窟で遭遇した閉じ込められたヴァンパイアを訪ね、力を貸して欲しいと迫るヴラドに、ヴァンパイアは、ヴァンパイアの血を飲めばヴァンパイアとなるが、3日間人間の血を吸わずに我慢しきれれば人間に戻る、そうでなければ永遠にヴァンパイアとなり代わりに自分が洞窟から解放されることになると取引を持ちかけ…というお話。

 家族を、故国を守るために、自力では守り切れない時にどうするか、何を犠牲にするかという、困難な、あるいは意地悪な問いかけに対して、素朴に/お人好しに考え込み、ついほだされてしまう、また妻側、子ども側の対応につい胸を/目頭を熱くしてしまう、そういう比較的単純な心情で見る作品なのだと思います。
 3日間我慢できるかどうかという条件設定、我慢できないほどの強い飢餓感という説明のわりには、そこはあまり描ききれていないというか、うまく活かされていないと思いました。それに洞窟に閉じ込められたヴァンパイアは代わりの者のを見つけて初めて解放される以上、ヴァンパイアが解放されれば代わりにヴラドが洞窟に閉じ込められるはずなのに、それがいつの間にかうやむやにされていたり、そこもいい加減な感じ。ヴァンパイアが陽に当たるとどうなるか、銀に触るとどうなるか、どういう条件で再生できなくなるのかも、あいまいというかテキトーな感じがします。荒唐無稽な話とはいえ、設定はきちんとして欲しいなと思います。
(2014.12.31記)

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