庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」
ここがポイント
 アナキンを完全に食ったアソーカ・タノが事実上の主役。ほとんどこのキャラで持たせている映画だと思う
 シリーズのファンの数に頼って7匹目のドジョウを狙った作品

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 スター・ウォーズシリーズの番外編3DCG映画「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」を見てきました。封切り2日目ですが、1064名収容のミラノ1でもあり、ガラガラでした。

 スター・ウォーズシリーズの「エピソードU/クローンの攻撃」と「エピソードV/シスの復讐」の間の時期にあったクローン大戦の序盤を描いているそうです。
 映画としては、共和国(ジェダイ側)と分離派(シス/ドゥークー伯爵側)の争いの中で、双方が味方に付けたい共和国側周辺領域を支配するジャバ・ザ・ハットの息子が誘拐され、その解決のためにアナキン・スカイウォーカーとその新たな弟子アソーカ・タノが派遣され、ドゥークー伯爵側のアサージ・ヴェントレスらと闘いながら、ジャバをどちらが取り込むかの争奪戦を繰り広げるというお話。その過程でジェダイ側のクローン兵士と分離派側のドロイドの戦闘シーンは、スター・ウォーズシリーズおなじみのように出てきますが、宣伝されているクローン戦争自体は描かれていません。タイトルに偽りありじゃないでしょうか。

 アニメが実写映画化されると必ずイメージが壊れたという評価が出てきますが、この映画のように実写映画のシリーズを3DCGにするのは安っぽく/薄っぺらに見えて、やめた方がいいと思います。ヨーダとかジャバとかもともとCGやぬいぐるみで見ているものはCGで違和感ありませんが、人間の顔は、CGにされるといかにも変。3DCGってなまじ本物っぽく見えるからどうしても実写と同レベルで比べてしまうわけですが、私たちの目は人間の顔の表情を見分ける感覚が発達していますから、今の技術ではどう頑張っても自然な人間の顔の表情には見えません。今後技術が発達するといつか私たちの識別能力のレベルに達する/超えるCGができる日が来るかもしれませんが。
 そのあたりは、予告編を見れば明らかですから、それだけでパスする人も多いかとは思います。それもあって空いてるんでしょうね。

 この映画では、スター・ウォーズシリーズの本編では登場しないアソーカ・タノ(Ahsoka Tano)が、事実上の主役と言っていいでしょう。形の上ではアナキンが主役なんだと思いますが、完全に喰っています。アソーカ・タノはまだ10代の少女なんですが、アナキン・スカイウォーカー(Anakin Skywalker)のことを「すかぴょん」(英語音声では”Sky guy”でした。この訳すごくいい)と呼んだり、私が命を守ると言ったり(現に何度か助けますし)負けず嫌いで強気、でもひょうきんでちょっとキュートな魅力的なキャラです。この映画、ほとんどこのキャラで持たせていると、私は思います。戦闘シーンは本編でも元々CGで、本編より迫力が増しているわけではありませんし。
 それと、好みの問題があるとは思いますが、ジャバの息子もかわいい。
 他方、やはり本編では登場しないヴェントレスは、CGでのっぺりしているし、深みも感じないし、キャラとしてもいまいち。

 全体としては、戦闘シーンは新味もなく、登場人物の心理面の描き込みはほとんどなく、いかにもシリーズのファンの数に頼って7匹目のドジョウを狙った小遣い稼ぎと私には見えます。見る人がアソーカ・タノ(とジャバの息子・・・)に魅力を感じられれば、まあよかったかなという評価、そうでなかったらたぶん酷評したくなると思います。

(2008.8.24記)

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